「アジアンカラー フェス」に新ライン登場! 高彩度アルカリカラー「PURE」(医薬部外品)と塩基性リキッドカラー「VIVID+」(化粧品)の特長とは? 開発協力サロンDaB 盛隆行さん×アリミノ開発担当者による新ライン深掘りトーク
2024年10月、ブリーチ毛にも使いやすいと評判の高発色カラー剤「アジアンカラー フェス」から、ブリーチオンカラーに特化した新ラインが登場。⾼彩度アルカリカラー 「PURE(ピュア)」と、泡にして使う塩基性リキッドカラー「VIVID+(ビビッドプラス)」が加わりました。
開発には、「アジアンカラー フェス」の開発に初期から携わっていただいている「DaB(ダブ)」の協力を得て、色の細かなニュアンスや薬剤の質感、サロンワークにおける使い勝手など、さまざまな視点から製品を作りあげました。そこで今回は、「DaB AOYAMA(ダブ アオヤマ)」のディレクター・盛隆行(もり たかゆき)さんと商品開発部の島津孝典(しまづ たかのり)が対談。開発経緯や製品の特長、使い方のポイント、おすすめの組み合わせレシピまでたっぷりと語りつくします。
「アジアンカラー フェス」最大の強みである“発色”をもっと活かせるカラー剤がほしい。それが開発のきっかけだった
―― 今回、「アジアンカラー フェス」から新ライン「PURE」(医薬部外品)と「VIVID+」(化粧品)を発売するに至った経緯を教えてください。
盛さん(以下敬称略):「アジアンカラー フェス」は、「発色が良い」という強みを持ったブランド。だからこそ、その強みを活かした高彩度のアルカリカラーや塩基性カラーなど、デザインカラーの幅をさらに広げるようなラインアップがないのはもったいないなと思っていました。
ブリーチオンカラーは2015年ごろから流行り始め、コロナ禍以降は在宅ワークが増えたことで、若い人だけでなく働く大人世代の方々も挑戦するようになりました。もはやいっときの“流行り”というより、“ひとつの選択肢”として、お客様からの市民権を得たなと感じています。これからも人気が続いていくのは間違いないので、ブリーチオンカラーに特化したラインは必要だと思っていました。
島津さん(以下敬称略):ブランドとしても、今のトレンドや、髪色に対する世の中の変化などを加味した上で必要なアイテムだと考え、企画を進めてまいりました。また、かねてより盛さんから「こういうカラー剤がほしい」とご相談も受けていたので、今回の新ラインを販売することが実現しました。
―― 高彩度のアルカリカラーや塩基性カラーは、以前からの念願だったんですね。
盛:以前から開発に関わっていることもあって、作るべきだと思っていました。一美容師というより、メーカー目線ですね(笑)。これまで開発スケジュールや一度に開発できるボリューム感などの兼ね合いで実現しなかった製品化が今回ようやくできたという認識です。
やはりファッションカラー、グレイカラー、ブリーチオンカラーなど、すべての領域を1つのブランドで完結できるほうが絶対に良いですよね。調整がスムーズですし、より効率的にイメージ通りの色みに仕上げることができます。ある領域の商品がないと、そこは他のブランドのカラー剤を選ばざるを得なくなってしまいますよね。
島津:サロンカラー市場では塩基性カラーや高彩度カラーが出揃っている中、アリミノは遅れる形での参入です。厳しい目で見られるだろうとも思っています。だからこそ、どう差別化を図れるかを盛さんたちと練りに練って出来上がった製品です。
人頭モデルを使用した検証会に加え、多数のサンプリング、フィードバックを繰り返し、1色1色、理想の色に
―― 実際の開発は、どのような流れで進んでいったのでしょうか。
島津:社内で企画検討し、DaB代表の八木岡さんを含めた方々とも企画検討を繰り返しながら具体的に詰めていきました。
盛:打ち合わせを重ねた後、私たちのほうで「アジアンカラー フェス」の既存カラーを組み合わせ、基準になる色を作り提出。それをもとに、開発サイドからファーストサンプルを出してもらいました。研究所メンバーの皆さんとは、既存の「アジアンカラー フェス」でも一緒だったので、ある程度の内容を伝えれば理解してもらえて想定よりも早く形になりましたね。
島津:盛さんも研究所メンバーも開発の経験値がとても高いので、開発がスムーズに進んだと思います。検証は、営業前の時間をお借りして、開発メンバーがDaBさんへサンプルを持っていき、あらかじめブリーチした社員の髪をサンプルで染めて、「この色だよね」「こうだよね」と検証する会を何度も行いました。検証会以外にも、随時サンプルをDaBさんに提出して、使った感想をヒアリングし、また修正して…というやりとりしながら、1色1色決めていったという感じですね。
高彩度アルカリカラー「PURE」(医薬部外品)のベージュはこだわりの3色相×3濃度。濃さを追求した、塩基性リキッドカラー「VIVID+」はめずらしい泡状に挑戦
―― 高彩度アルカリカラーの「PURE」(医薬部外品)について、特長やこだわった点を教えてください。
盛:色数は9色相、明度は薄い色と濃い色の2種類が基本です。ベージュのみ、もう1段階濃い色があり、色数もG.ベージュ、ベージュ、W.ベージュの3色相があります。こだわったのは、「アジアンカラー フェス」というブランド最大の個性である「発色の良さ」。また、髪の状態に左右されにくく、染め上がりがきれいな点が特長です。
―― なぜベージュ系カラーだけ、色みと濃さの種類が多いのでしょうか……?
盛:これまでの「アジアンカラー フェス」は、ベージュ系の色みはナチュラルのみで、表現の幅があまりありませんでした。私自身も、ベージュ系の色みを作る際は他社のカラーを使用することもあって、他の美容師さんからもそういう声は多かったと思いますね。
1本の薬剤で全頭をきれいに染められるのがベストですが、髪の状態はお客様一人ひとり違いますよね。ムラのない仕上がりを、ベージュというニュアンスカラーで叶えようと思ったら、 濃度も色数もそれぞれ3種類はないと難しいだろうという思いがありました。
島津:ベージュ軸がナチュラルしかないことは、 課題として考えていました。それを既存の「アジアンカラー フェス」のラインに追加するか、「PURE」で出すかというところで、今回最終的に「PURE」にベージュの3種類を入れると決めました。
盛:ベージュ系が3色相×3濃度もあれば、ほとんど網羅できます。デザインの幅も広がるし、ニュアンスも表現しやすいと思いますね。
―― なるほど……! では、「VIVID+」の特長についても教えてください。
盛:色は7色展開で、“色の濃さ”にこだわりました。今、市場にある塩基性カラーはクリーム状のものが一般的ですが、今回の「VIVID+」は液体状です。それを専用シェイカーで泡立てた状態で塗布するので、均一に伸びて塗布ムラになりにくいんですよね。これは今まで使ってきたものにはなかった特長だと思います。
島津:後発アイテムとして今までにない機能や使い方に個性があって、しっかり認知してもらえるものは何だろうかと総合的に判断して、泡状になりました。
―― 泡にして使う塩基性のカラー剤は珍しいですよね……!
盛:今まで見たことがないですよね。ブリーチ毛はすごく傷んでいて、 コーミングのちょっとしたストレスでも引っかかって髪がちぎれてしまうことがあります。ダメージを少しでも抑えられるように泡でやさしくもみ込んでカラーできるというのはメリットがあると思います。
私たちも、泡にして使う塩基性リキッドカラーの製作に携わるのはもちろん初めてのことだったので手探り状態。共通の完成イメージがないという点は難しかったなと思います。
島津:濃さはどのくらいがいいのか、泡質はどれがベストなのか。そのあたりはDaBさんの経験値をお借りして、相談や社内検証を何度も重ねながら作っていきました。
盛:泡の固さに関していうと、シャバシャバだと髪に塗った時に流れてしまうので、キメが細かくて「ふわふわっ」としていたほうが髪に留まっていいんですよ。髪に留まって垂れない、そのギリギリを攻めているという感じですね。
―― 「VIVID+」の色みについては、いかがですか?
盛:色みに関しては、最初のサンプル時点からクオリティが高かった印象があります。「VIVID+」は独自のベース処方ですごく濃く染料を入れています。それでいて、できるだけムラにさせないという点にはこだわりました。
―― ちなみに、開発に苦労した色はありますか?
盛:色を作るのが難しいということはなかったのですが、先ほどのベージュに関しては他のカラーより濃度の種類が多いので、一番濃い4レベルの濃さをどこまで追求するかという点で調整を重ねました。特にG.ベージュは濃さはしっかりあるけど、 ブリーチできれいにとれるという点にもこだわりました。
ブリーチ毛の方に使ってトーンダウンした時に、色が抜けにくかったり、残ってしまったりするとその後の色の展開がとても狭くなってしまうので、今回は濃い色でも残留しにくく作っています。その瞬間だけキレイになるということではなく、そこから先もブリーチ毛は続いていくので、先のことを考えて、こだわって作りましたね。
―― 特にお気に入りや、美容師さんが使いやすそうな色はどれですか?
盛:全部使いやすいと思います。ピンクは絶対定番で人気が出るでしょうし、寒色系のシアンとミントもいい色だなと。パープルとバイオレットも、個人的に仕上がりに大満足ですね。
狙った色を誰でも簡単に、シンプルに。ムラなく出せるようなカラー処方に
―― 「PURE」(医薬部外品)と「VIVID+」(化粧品)、この2ラインが仲間入りすることで「アジアンカラー フェス」はこれからどう変わっていくと思いますか?
盛:今回の商品ができたことによって、カラーを得意とする美容師はもちろん、ブリーチオンカラーに苦手意識のある方や慣れていない若手でも、より簡単に、理想の色を作りやすくなる(仕上がりのこと)と思います。「PURE」と「VIVID+」を使いこなせれば、 既存の「アジアンカラー フェス」ではできなかった表現も可能になるはず。
特に塩基性リキッドカラーの「VIVID+」に関しては、この商品じゃなきゃ出せないような色みもあり、「PURE」も他のカラー剤(当社従来品)だと表現の難しい色合いも出しやすいと感じてもらえると思います。
―― オススメの使い方を教えていただけますか?
盛:「PURE」ラインの中でベージュは、G.ベージュ、ベージュ、W.ベージュの3色あって、この中のG.ベージュとW.ベージュを組み合わせて作るベージュがおすすめです。この2色を組み合わせても「PURE」のベージュにはならないんですが、どんな色になるだろうと試しにやってみたら、思った以上にいい色でした。
W.ベージュの温かみのある色みと、G.ベージュのグレーみがお互いを打ち消し合うことなく、紫っぽいような、なんとも言えない欧米人の地毛のような新しい色になったんです。シンプルに1本使いももちろん良いですし、さまざまに色を組み合わせて楽しんでもらえればと思います。
島津:既存の「アジアンカラー フェス」は、アンダーを調整するため補色として複数の染料を複雑に調合して作っているのですが、その分「たくさん混ぜれば混ぜるほど、くすんだ色になりやすい」という一面があります。
今回の2ラインは、よりシンプルな染料構成にすることで、「こういう発色にしたいからこんな色を混ぜたらいいんじゃないか」という美容師さんの頭の中のイメージがそのまま色になるような作りになっています。組み合わせてもくすまず、きれいに発色して、感覚的に色を作っていけるので、現場でも使いやすいのではないかと思っています。
「PURE」(医薬部外品)と「VIVID+」(化粧品)の2ラインでブリーチカラーがこれからもっと楽しくなる
―― 最後に、これから新ラインを使う美容師さんへのメッセージをお願いします。
盛:本当にいい仕上がりだなというのが率直な感想です。特に塩基性リキッドカラーの「VIVID+」は今までにないほど使い勝手が良いですし、まろやかなニュアンスカラーや鮮やかな原色カラーなど、表現の幅はかなり広がるはず。美容師さんがイメージしたままの色を作りやすい薬剤かなと感じています。
また、高彩度カラーの「PURE」は発色が良いからこそ、ブリーチをしてない方のカラーにも使えます。「アジアンカラー フェス」の既存カラーと組み合わせるなど、ぜひ楽しんで使ってみてほしいですね。
島津:全国の美容師さんに「PURE」「VIVID+」を使っていただくことで、今後はもっとレシピの幅も広がっていくと思うので、そこもとても楽しみにしております。
盛隆行Takayuki Mori
DaB AOYAMA ディレクター
1983年生まれ、埼玉県出身。2004年日本美容専門学校卒業後、DaBへ入社。サロンワークを中心にスタッフの育成、カラー技術の向上に努め、薬剤開発にも携わる。デザイン性の高いカラーのテクニックには定評があり、お客様からの信頼も厚い。一般誌、業界誌の撮影、また全国各地でのセミナーにて活躍中。
Instagram:@mori_takayuki_
(取材・執筆/池山章子、編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)