パーマのデザイン技術とSNS発信により急成長中のサロンに聞く、パーマスタイルの提案がブルーオーシャンの理由とは——tohka
2022年8月、青山・骨董通りにオープンした「tohka(トーカ)」。スタッフ6名という少数精鋭で、サロン激戦区でも存在感を示しています。その理由はパーマスタイルの提案とデザイン力。
パーマに着目した背景や巻き方のコツ、さらに、導入されている「コスメカール プリズムプラス」の特長や使いやすいポイントなど、オーナースタイリストの井上直洋(いのうえ なおひろ)さんと、スタイリストの小林隆太(こばやし りゅうた)さんにお話を伺いました。
パーマが得意な美容師が少ない今だからこそ、力を入れてやってみようと思った
―― パーマスタイルが評判のtohkaさんですが、なぜパーマを打ち出すようになったのでしょうか?
井上さん(以下井上):僕が若い頃はカットもカラーもパーマも、何でもできて当たり前という時代でした。でも、30代後半である僕ら世代以降でパーマが得意な人って圧倒的に少なくなっていることにふと気づいたんです。「パーマってブルーオーシャンだな」と思い、パーマスタイルを掘り下げ始めました。
研究のために、SNSに投稿されているパーマスタイルをたくさん見ていると「カールが強くかかりすぎているな」とか「頭が大きく見えるな」と感じることが多かったんです。僕が作りたいのはちょっとモード感がありつつも、上品に見えるスタイル。そのためにはどのような構成で巻いていけば良いのかを考えて、スライスのとり方を変えるなど、試行錯誤しました。
―― そうした流れでセオリーとは異なるパーマの施術方法を編み出されたんですね。
井上:自分が編み出したわけではないと思いますが、「別に縦から巻いても良いよね?」という発想の転換があったんです。その方法でパーマスタイルに取り組み始めたら、徐々に注目されるようになったという経緯です。
井上:美容学校で習うパーマの巻き方は、横スライスで下から巻いていくのがベーシックだと思うのですが、縦でスライスをとり、上から巻いていったほうがカットと連動させやすいのではと思い至りました。最近はレイヤーの入ったスタイルのほうが多いので、レイヤーの位置を考えながら巻くにも縦スライスのほうが仕上がりが良いと感じたんですよ。
先ほどの話に戻りますが、最近はパーマをする美容師が少ないからか、他店の方がパーマ施術を受けに来ることもあって。皆さん「上から巻くんですか?」とか「ロッド大きいですね」と驚かれますね。
―― 小林さんもパーマを打ち出されていますが、どこに魅力を感じていますか?
小林さん(以下小林):パーマスタイルにしたいとおっしゃるお客様って、髪型を変えることに意欲的だったり「おしゃれになりたい」という想いが強かったりする人が多いんですよね。自分自身もそういうお客様を増やしたいと思っていて、そこに魅力を感じてパーマを自分の強みにしたいなと思ったのが最初ですね。実際に勉強し始めると、パーマって技術を積み上げていけば仕上がりにしっかり反映されるんです。それが性格的にも合っていたし、やればやるほど面白いなと感じています。
思い描く仕上がりと、髪へのダメージに配慮できることのバランスが良い。パーマ施術の9割以上に「コスメカール プリズムプラス」を選ぶ理由とは
―― 「コスメカール プリズムプラス」を採用いただいていますが、どのような経緯で導入されたのでしょうか?
井上: SNSで「プリズムプラスがすごい」と話題になって、その評判を見て興味を持ったのがきっかけです。使ってみるとダメージ差のある髪でも均一にカールがかかるし、どんなお客様にも使いやすいと感じました。
最近は、髪の履歴が複雑なお客様が多く、カールのかかり具合をシビアにチェックしないといけないケースが多々あります。ただ、サロンワークが忙しい時はそれがままならない。できるだけチェックの回数を減らして他に稼動を割けるとベストなんですよね。その点で「コスメカール プリズムプラス」は時間を置いている間に細かくチェックしなくても、イメージ通りの仕上がり感になるので助かりますね。
―― たしかに忙しいとチェックに手が回らないこともありそうです。
井上:あとは、良い感じにカールがとれていくところも気に入っています。例えば、お客様の来店サイクルが2〜3ヶ月だとして、前回のカールが残っていると、次のデザインに影響してしまいます。その点、「コスメカール プリズムプラス」は変に残らず余韻が良い。
小林:ニュアンスのあるカールが作れるところも良いですよね。自分のお客様は鎖骨上ぐらいのレングスの方が多いので、「頭は大きく見せたくないけど、カール感はほしい」というような時にポイント的にカールをつけるのに最適です。
―― 「コスメカール プリズムプラス」には「プリズムプラス M」と「プリズムプラス H」がありますが、どのように薬剤選定をしていますか?
井上:今のお客様はほとんどカラーをされているので、ベースがある程度明るい場合は、「プリズムプラス M」を想定します。さらに髪質を見て、髪が硬かったり油分が多かったりする時は「プリズムプラス H」をプラスすることが多いです。
―― どれくらいの割合で「コスメカール プリズムプラス」を選ばれますか?
井上:体感的には95%ぐらいですね。むしろ「コスメカール プリズムプラス」でも耐えられなさそうな髪の状態だったら、パーマ施術を見送ることが多いです。同業のお客様だと、「えっ、『プリズムプラス M』でかかりますか?」と最初は半信半疑で、仕上がりを見て納得されるなんてこともよくありますね。
―― カラーとカールを同時に施術する場合はどうしていますか?
小林:その場合は、髪への負担が少ないように、カラーの明るさを少し下げるなど調整します。そういう時もやはり、「コスメカール プリズムプラス」を選ぶことが多いです。
パーマは年1回でも、スタイルを変えながら楽しめる提案を心がけています
―― パーマスタイルにしたいというお客様は、どのような方が多いですか?
井上:最近はSNSを見ていらっしゃる新規の方のほか、顧客の方も「井上さん、最近パーマ推しなんですか?」と興味を持つ方が多いですね。ヘアスタイルのトレンドとも連動するのですが、直毛の方はレイヤーの入ったスタイルだとバサッと見えてしまうので、パーマで動きをつけたいという希望が多いです。
―― スタイリングを楽にしたいからという方もいらっしゃいますか?
井上:そうですね。ただ、それが髪質によっては、そうとも限らないのが難しいところ。朝起きてそのまま出かけられると思っている方には、そうじゃないことを最初にしっかり伝えるようにしています。「起きたら濡らして、オイルを揉み込んでね」って。特に今までパーマスタイルをやったことがない20代のお客様には丁寧にカウンセリングをしています。
―― どのくらいの頻度でかける方が多いでしょうか。
小林:3回に1回ぐらいが多いです。お客様によっては年に1回という方もいらっしゃいます。その方のカールの残り具合を見ながらスタイルをチェンジしていって、長く楽しめるスタイルを提案するようにしていますね。
コピーパーマのリール投稿は32万回の大バズに。同業者だけでなく新規&顧客へのアプローチにも
―― ところでオープン時から集客サイトを使っていないと伺いました。それはなぜでしょうか?
井上:僕自身は集客サイトに恩恵を受けていた世代ではあるのですが、今はSNSもたくさんあって、全部を更新するとなると、スタッフの負担になると判断したからです。スタッフにもやるかやらないか聞いてみて、サロンの総意として決めた感じですね。
―― 一方、Instagramの発信は盛んに行っている印象です。SNS発信について、内容や頻度などサロン内でのルールはありますか?
井上:全くないですね、放任です(笑)。ただ「やるもやらないも自分次第だよ」とは言ってます。その点、小林は継続力がすごいですね。やると決めたらやり抜けるので、それが結果として出てきているなと感じます。
小林:基本的に毎日アップするようにはしていますね。最近はフィードよりもリールを見られる確率が高いので、リールをメインにしていて、ストーリーズも毎日あげるようにしています。
―― 投稿内容で工夫していることはありますか?
小林:ストーリーズはヘアスタイルの仕上がりを、リールはどこかにBeforeのスタイルを入れるようにしています。というのも、「このヘアスタイルにしたい」とお客様がSNSの投稿を見せてくれても、レングスが足りないことがけっこうあるんです。特にパーマスタイルだと、お客様が思っている以上に長さがないと施術できないことがあって、Beforeスタイルを載せてあげることでお客様にも分かりやすくなるかなと思っています。
―― ちなみに井上さんは、Instagramでバズった投稿があるとか…
井上:コピーパーマのリールですね。予想外にバズって32万回再生されました。
井上:美容師のInstagramで投稿されているパーマスタイルは、仕上がりのスタイル写真のみか、Before・Afterを載せていることが多いので、何か違う切り口はないかなと考えていました。それで、海外モデルのパーマスタイル写真などを見本に、どう巻いていくと再現できるかという動画を撮って投稿したんです。
そしたら、ものすごい反響がありました。同業者からの反応はもちろんなのですが、意外にもお客様から「この髪型にしたい」という声が多数あって驚きましたね。
小林:自分も真似をして同じ投稿をつくり始めたのですが、投稿を見ている側の人だけでなく、つくる側の自分もすごく勉強になるんですよ。撮影して説明文を考えることで、そのスタイルをより深く理解できるんです。
井上:反響がありすぎて、翌日には他の美容師さんがすぐに同じような投稿をあげていて、そんなに早く真似されたのも予想外でした(笑)。
スタッフそれぞれの意思を尊重しつつ、サロン全体でパーマ技術を高めていきたい
―― 既にパーマが得意なサロンというイメージが定着したtohkaさんですが、今後はどのような展開を考えていますか?
井上:サロンを出してもうすぐ2年。店名の「tohka」は、多数の花が集まって1つの大きな花に見える”頭状花序(とうじょうかじょ)”という言葉から名づけました。スタッフ一人ひとりが輝いて、お店として大輪の花を咲かせたいという願いが込められています。
パーマは、もともと僕自身が強化したいと思って取り組み始めましたが、小林をはじめ他のスタッフも自発的に興味を持って毎月モデルレッスンを行うようになりました。強制するつもりは全くないのですが、これからの時代、パーマができる美容師はどんどん価値が上がっていくと考えています。
小林:自分は実は前サロンではパーマのお客様がほとんどいませんでした。それは自分自身、パーマ施術に自信がなかったからだと思います。パーマを学ぶことによって、スタイル提案の幅も広がっていますし、お客様に新しい価値を提供できているのがうれしいです。今はミディアムレングスのお客様が多いのですが、今後はロングの方にも抜け感のあるパーマスタイルを提案していければと思います。
井上直洋Naohiro Inoue
tohka オーナー
大阪府出身。関西美容専門学校卒業後、都内サロンを経て2022年に「tohka」オープン。パーマスタイルを軸に、ナチュラルエッジなスタイルの提案を行っている。
Instagram:@nao_tohka
小林隆太Ryuta Kobayashi
tohka スタイリスト
新潟県出身。国際文化理容美容専門学校 渋谷校卒業後、2023年に「tohka」入社。抜け感のあるカジュアルなパーマスタイルを得意とし、ライフスタイルやファッションに合わせたデザインづくりを行っている。
Instagram:@ryuta_tohka
アリミノ営業担当者のコメント
tohka様ではコスメカール、コスメカール プリズムプラスをオープン当初からご導入いただいております。
近年のサロン業界ではヘアカラーを得意とする美容師様が多い中で、時代の流れを読み取り、サロン全体でパーマスタイルに取り組まれることで、若手スタイリストもパーマを強みに活躍されています。
Instagramのリール投稿を見て来店する新規客も多く、その7割がパーマを注文。ヘアビューティに対する感度の高いお客様の集まるサロンとしてますます注目されています。
薬剤の進化により、今まで対応できなかった髪の状態の方にもパーマスタイルを楽しんでいただけるようになったことは、アリミノとしても嬉しく感じます。近年のパーマ市場は右肩上がりの傾向にありますので、今後もたくさんのお客様にパーマスタイルを楽しんでいただけるようアリミノの商材を通してサポートできればと思います。
首都圏第2営業部 東京第2支店 宇野紘史
「tohka」サロン情報
スタイリングに頼らないカット技術を軸に、クオリティの高いパーマスタイルやハイトーンカラーを強みとするサロン。2022年8月にオープン以来、ナチュラルの中にエッジを効かせたスタイル提案で、感度の高い女性からの支持を集める。
店舗展開 | 1店舗 |
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従業員数 | 6名 |
サロンコンセプト | 一人ひとりが個性を発揮できるサロン |
サロンターゲット | 20〜30代の女性を中心に幅広い層 |
「tohka」店舗情報
所在地:
〒107-0062
東京都港区南青山5-12-5 青山第一和田ビル201
Instagram:https://www.instagram.com/tohka.hair/
(執筆/橘川麻実、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)