女性100名の投票で新色を決定! 美容師から公募したレシピを製品化する『ツギイロプロジェクト』はなぜ始まった? ツギイロプロジェクトの裏側#1
20〜30代の働く女性がターゲットのカラー剤「カラーストーリー アドミオ」の“つぎ”を、美容師のみなさんとアリミノが共に考えるサロン参加型新色開発企画『ツギイロプロジェクト』。日本全国から集まったレシピから2系色を製品化し、2021年3月から1年間限定で発売します。
「もっと美容師さんと一緒にワクワク楽しみながら新色を作りたい」という想いで始まったというこのプロジェクト。レシピを公募して商品開発するのは、アリミノ史上初の試みです。
そこで今回は、カラーストーリー アドミオを担当する商品開発部の高木圭介とマーケティング部の工藤大介に、プロジェクトの立ち上げから選考まで、取り組みへの想いや応募レシピから見えたトレンドなど、ツギイロプロジェクトの裏側を聞きました。
さらに、見事当選したHair Studio C-O-E後藤由奈さんとhairsalon de Forever齋藤勇磨さんから、当選への想いをコメントいただいています!
ツギイロプロジェクトの裏側#2はこちらから:
美容師さん自ら70名以上でのモデル検証も! 担当者が驚くほどの熱量で追求した新色開発の様子とは? ツギイロプロジェクトの裏側#2
ツギイロプロジェクトの裏側#3はこちらから:
サロンワークで感じたニーズをついに実現! カラー剤開発初の美容師がこだわり抜いた新色「キャットミント」「シーケイブ」の特徴は? ツギイロプトジェクトの裏側#3
初のサロン参加型商品開発! ツギイロプロジェクト立ち上げと選考の裏側
アドミオをもっとかわいがってほしい。プロジェクトのスタート
―― なぜ美容師さんからの公募によるレシピ開発を行うことになったのですか?
高木:以前から「もっとワクワク楽しみながら、サロンさんと新色を作っていきたいね」という話を工藤さんとしていたんです。メーカーから提案するだけでなく、「自分たちで作った色」のほうがもっと美容師さんにワクワクやブランドへの愛着を持ってもらえるのではないかと考えていました。具体的に企画書を作り始めたのは2019年の9月ごろ。公募開始まで約半年かけました。
これまでも商品開発はサロンさんにご協力いただいて行っていましたが、サロン参加型で製品化した事例はアリミノでは初、おそらく他社メーカーでもこれまでにない取り組みだと思います。
工藤:メーカー側からサロンさんに協力依頼をする場合、どうしても都内や大阪など主要都市の有名サロンに声をかけることになりがちです。でも、私たちが知らないだけで、ほかにも高い技術力や開発意欲のある美容師さんがいるのではないか。そんな美容師さんに出会うきっかけになればと思っていました。また、当選の有無に関わらず、サロンさんの中で色作りをより一層楽しむきっかけにしていただけたらいいな、という思いもありました。
―― 募集はどのようにかけましたか?
高木:申し込みはチラシに記載しているQRコードからのみにしました。入り口を絞ったのは、初の試みだからこそ関わりのあるサロンさんと深く連携して行いたかったから。営業から直接チラシをお渡ししてお話しすることで、プロジェクトの意義や目的もしっかり伝えられますし、それが営業とサロンさんのコミュニケーションのきっかけにもなればいいなとも思っていました。
また、アドミオをお取り扱いいただいているサロンさんへの価値提供を第一にしたいという想いも大きかったです。近年は特に、他メーカーからも新しいブランドや新色が多く出てきており、ヘアカラーのライフサイクルは年々短くなってきています。そんな中で、既存のサロンさんにこそ、自分たちが欲しい新色を作り、使い込んでほしいと考えていました。
―― 募集を開始したとき、お二人はどんな気持ちでしたか?
工藤:いざ始まると、ドキドキと不安が押し寄せましたね。たくさんの美容師さんが応募してくれたらいいな、社内も盛り上がったらいいなという期待の反面、どのくらい応募がくるかなという不安感もありました。「どうしよう、10件しかこなかったら…?」みたいな。
高木:「そしたら工藤さんが応募してください」なんて冗談半分で言ったり(笑)。
工藤:そうそう(笑)。
高木:毎日応募がきていないかチェックしていましたよ。「入りました!」「何件、何件?!」って。
工藤:実際に応募が入ってきたときの気持ちは「ほっとした」の一言につきますね。
高木:ありがたいことに、最終的には北海道から九州まで全国から、目標を上回る応募が届きました。
論理的な色作りが感覚的にもお客様に伝わる。選考から見えた特徴
―― 集まった応募内容を見て、印象的だったことはありますか?
高木:応募写真から、みなさんの本気度を感じました。写真の添付を必須にしていましたが、その内容は毛束、ウィッグ、人頭の制限はしていませんでした。でも、全員が人頭の仕上がりの写真を送ってくれたんです。
また、写真の撮り方によっても美容師さんのこだわりが見えました。全体の雰囲気を見せたいのか、機能面をフォーカスして見せたいのか。何にフォーカスしているかで美容師さんがレシピに込めた想いが伝わり、それぞれこだわりが違うのだと実感しました。
工藤:地域による特性の違いも発見でしたね。一般的に東日本は優しくて淡い色、西日本は強くて濃い色が好まれると言われていますが、SNSなどで多くの方が同じ情報に触れるようになった今は、どの地域も近しいところに寄ってきているのではないかと思っていたんです。ところが集まったレシピを見ると思っていた以上に東日本と西日本で傾向が分かれていたので、驚きました。
また、全国的にはトーンが濃いグレイッシュな色が多かったのですが、反対にトーンが薄くビビッドで、オフィスの中でも色みが感じられるようなレシピもいくつかあったのが印象的でした。近年のトレンドからちょっと逸脱してみようという試みが感じられましたね。
―― 選考は何を基準に行いましたか?
高木:アリミノとアドミオ開発協力サロンによる1次審査と、20代〜30代一般女性100名による投票審査を行いました。1次審査では「グレイッシュ」「中明度で色みを感じる」といったアドミオの世界観および募集テーマに合致しているか、そして「新しさ」と「実現可能性」の観点で絞り込みました。
2次審査は女性100名に写真から好きなものを選んでもらいました。サロン名も美容師さんのお名前もなく、写真のみ。女性が本当に求めるカラーを作ろうと考えての選考方法です。
―― 当選したHair Studio C-O-E後藤さん、hairsalon de Forever齋藤さんのカラーは、それぞれどのような特徴がありますか?
工藤:後藤さんはネイビー系で強くはっきりした色合いが特徴的。ブリーチ毛での色の出方と、リタッチでオレンジみを抑える両側面をバランスよく見ているレシピです。また、応募のあったレシピでは、色で作っている方と、印象で作っている方に分かれましたが、齋藤さんのレシピは柔らかく印象的な女性像を作るのが得意な方だなと感じました。
高木:募集テーマの「20~30代の働く女性」もタイプが分けられますよね。後藤さんのネイビー系は、職場ではあまり派手にできないけれど外では色みを感じたいといったオフィスで働く方に合うイメージです。齋藤さんのバイオレット系だと、アパレル関連など髪色の制約が少ない方に合うのかなと思います。
工藤:どちらも、感覚的に作りながらも、さまざまな髪質においてきれいに色を出すための設計を論理的にしている方が選ばれたなと感じました。
高木:工藤さんが新色を検討するときも、色のよさだけでなく、機能的な面でどう使えるかなど見た目だけでないメリットを設計して作っているんです。そういった視点を持ったものが今回の応募でも選ばれたのだと思います。
工藤:選考では感覚的に写真で選んでもらっているわけですが、しっかり考えているからこそそれが瞬間的に一般の方にも伝わるんですよね。
関わるみんながハッピーに! 想いを実現していくプレッシャーと責任も実感
―― 当選したお二人にはどのように連絡しましたか?
高木:まずは担当営業から連絡しました。社内で担当営業に伝えると、すごく喜んでくれましたし、担当営業から代理店さんに連絡したら代理店の方も喜んでくれたそうです。特に後藤さんは、ずっと他のメーカーも含めて自身が応募した色を探していたそうで、担当営業にも相談していたそうです。後藤さんと担当営業が一緒になって喜んでくれて、関わる人みんながハッピーになったのが、うれしかったです。
工藤:お二人と後日電話でお話ししたのですが、喜びはひとしきりおさまったくらいのタイミングでの打ち合わせだったので、私たちが企画をスタートしたときにそうだったように、かなりドキドキして不安もある様子が感じられましたね。
高木:「本当に当選しちゃった!」みたいな。こういった応募ものは「当たらないだろう」「有名サロンになるだろう」と思っている方が多いようで、齋藤さんもそう思っていたので驚いたとおっしゃっていました。
工藤:ほかにもうれしかったのが、当選したことでお二人やサロンの信頼度が上がったということ。賞状を作ってお送りしたのですが、それを見たお客様が「このサロン、すごいんですね!」と話題にしてくださるそうです。また、サロン内でもスタッフのみなさんのカラーに対する勉強の姿勢が変わったそうなんですよ。当初は予想していなかった効果ですが、製品や取り組みを通して美容師さんの活躍を支えられているのが、すごくうれしいですね。
―― お二人とお話しして、これから始まる開発に向けてどのように感じましたか?
高木:お二人や周囲の方が喜んでくれたのはうれしかった反面、同時に「その美容師さんの想いをしっかり形にしなければ…!」と、プレッシャーと責任感が生まれてきました。
工藤:お二人ともお願いされてやったのではなく、やりたいと自分から手を上げてくれているので、前のめりでものすごいモチベーションの高さでした。その想いをなんとか叶えたい。しかも、開発期間が研究開発としては短い上、コロナ禍でこれまでとは異なる環境です。その中で達成せねばというのは、プレッシャーも大きかったです。
高木:当選したお二人の理想を形にしたいのはもちろん、その先にもつなげたいという想いもありました。ツギイロプロジェクトのような取り組みは、継続してこそ浸透するもの。今回は「おもしろい企画だね」と思いながらも、当たらないだろうと思って応募までたどり着かなかった方も多いと思います。第1回をしっかり実現することで第2回、第3回にもつなげ、より多くの美容師さんに参加していただき、アドミオを身近に感じてもらえたらと思っています。
喜びと驚きの声! 当選者からのからのコメント
「自分を変えたい」強みを探して応募。Hair Studio C-O-E 後藤由奈さん
応募のきっかけは、「美容師としての自分の強み」として胸を張れるものがなく、「自分を変えたい」と思っていたことです。そんなときに、ツギイロプロジェクトを知り、新しいレシピを考えることにしました。
応募のテーマだった「20~30代の働く女性」を考えたときに、仕事の関係でブリーチできない女性にももっとヘアカラーを楽しんでほしいと思い、今回の応募レシピにたどり着きました。「鮮やかな発色」「やわらかな質感」がありつつも、「ダメージレス」「ワンメイクだから時短」を実現できるカラーとしておすすめできる、美容師さんにとっても使いやすいカラーだと思います。
応募に向けてレシピ研究をしていく中でヘアカラーに対しての理解が徐々に深まり、周囲からも自然と「ヘアカラーといったら後藤さん」と思っていただけるようになりました。アシスタント時代から知っている常連のお客様からは「成長したね」「カラーは後藤さんにしてもらいたい」と言っていただけることも。さらに、当選の報告やモデルの募集をInstagramに投稿したところ新規のお客様が増えるなど、ツギイロプロジェクトの応募と当選を通してお客様からの信頼が厚くなったと実感しています。
チャレンジがサロン全体のモチベーションアップに! hairsalon de Forever 齋藤勇磨さん
これまでずっと商品開発に携わりたいと思っていたので、ツギイロプロジェクトを知ったときは、「チャンスがきた!」とうれしく思いました。とはいえ、カラーが得意なサロンも数多いなかで選ばれるのは難しいと思っていたので、当選連絡受けた時は、自分のアイデアが純粋に評価されたことがとてもうれしかったです。
今回の当選によって、サロン全体も今まで以上に勉強に励むようになり、積極的に新レシピを試したり話し合いを活発にしてアイデアを共有したりするようになりました。新しいことへの挑戦が、サロン全体のモチベーションアップにもつながっていると実感しています。
Foreverでは「質感」と「色持ち」を重視しているので、特にそのあたりにこだわりながら、ツギイロを定番色にするために新色開発に力を入れていきたいですね。
ツギイロプロジェクトの裏側紹介は今後も更新予定。第2回では、実際にどのように新色作りが行われたのか、その開発の様子をお伝えします!
アドミオ限定新色開発企画 第2弾! ツギ²イロ プロジェクト応募受付開始!
ツギイロプロジェクトの2021年実施が決定! 新しい色のレシピ応募から、2つのカラーレシピを次の新色として製品化し、1年間限定販売。さらに、当選者には新色開発にも携わっていただきます。
今度のテーマは『2022年20代の働く女性をポジティブにするオリジナルカラー』。たくさんのご応募、お待ちしています!
募集期間:2020年11月1日〜2021年1月31日
募集テーマ:『2022年20代の働く女性をポジティブにするオリジナルカラー』
詳細・ご応募はこちらから
(取材・文/A PRESS編集部、写真/河合信幸)
ツギイロプロジェクトの裏側
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