アートと美容で笑顔をつなぐ! 世界的アーティスト コレット・ミラー氏による「グローバル・エンジェル・ウィングス・プロジェクト」スペシャルコラボの裏側

Oct 18.2022
COLUMN

L.A.のアーティスト、コレット・ミラー氏による『グローバル・エンジェル・ウィングス・プロジェクト』。 “愛と平和の象徴”として描かれた「天使の羽」の壁画前で写真を撮りSNSに投稿するアートプロジェクトです。世界中さまざまな国に広がり、日本でも横浜・赤レンガ倉庫の壁画で話題になりました。

アリミノは、その『グローバル・エンジェル・ウィングス・プロジェクト』とスペシャル・コラボレーション。「サロンも愛の溢れる場であってほしい」という思いのもと、コレット氏がオリジナルで制作した天使の羽のタペストリーをサロンで展開しています。

実はミラー氏が企業と公式にコラボレーションするのは、今回が初。なぜコラボが実現したのでしょうか。また、サロンに展開するためにどのような工夫をしているのでしょうか。アリミノ・COCOA出版の打矢吉範(うちや よしのり)と池田祥一(いけだ しょういち)に聞きました。

サイズも、素材も、「サロンに飾るために最適なアート」を考えた

―― 天使の羽のタペストリー、大きくて目に飛び込んできますね。

打矢さん(以下敬称略)かなり大きく感じますよね。B0(ビーゼロ)サイズなのですが、コピー用紙やノートなどのB5サイズの32倍もあるんですよ。でも、前に人が立って写真を撮ったときにバランスがいいか、サロンでなんとか飾れる大きさかを何度も検討した結果、このサイズが必要最低限だと思いました。

また、素材も「サロンで飾る」という視点から、「軽くて丈夫」「湿気に強く皺になりにくい」ことを重視して印刷会社さんと相談し、紙のポスターではなくタペストリーで使用するものを選びました。収納も簡単にくるくる巻けて、邪魔になりません。また飾り方も、紐で吊るす、画鋲や両面テープで止めるなど、いくつかの方法が使えるようにしています。

―― 羽が縦長なのも、サロンで撮影する状況を意識してなのでしょうか?

打矢はい。でも実は、コレットさんとは具体的なサイズなどの細かい話はしていなかったんです。プロジェクトのはじめに「サロンで飾りたい」とお伝えしたところ、人ひとりが写って、ヘアスタイルもよく見える構図で描いてくださいました。

実際のタペストリーデザイン

―― 初めて作品を見たときは、どう思われましたか?

打矢最初は「ピンク?!」と驚きましたね。コレットさんが各地で描いている壁画の印象と違ったので、意外でした。でも実際に印刷してみると、そのピンクが柔らかくて優しい。ほっとして気分が明るくなる色あいで、目を惹くものだと感じました。

―― 美容師さんにヘアスタイルを仕上げていただいた直後に天使の羽の前で撮ると、いい写真になりそうです。

池田さん(以下敬称略)そうですよね。きれいになって気分も上がっている中、使い慣れたスマートフォンで撮るので、自然な笑顔になるんじゃないかなと思います。

―― 実際に飾っているサロンさんからは、どんな声がありますか?

池田飾って早々にスタッフさんがタペストリーの前で写真を撮ってSNSにアップしてくださっているところも多いんですよ。その投稿やタペストリーを見て、お客様と話題になることもあるようです。他にも、お子さんが髪を切って、天使の羽と写っている投稿もありました。楽しんで写真を撮ってくださっている様子や、お子さんの笑顔を見ると、幸せな気分になりますよね。

アートを通じて笑顔を広げる! 思いが重なり、プロジェクトが実現

実際にタペストリーを飾っているサロンの様子

―― どのような経緯で、このプロジェクトが実現したのでしょうか。

打矢当社は企業メッセージテーマのイメージ撮影などをアメリカで行っているのですが、その現地コーディネーターがコレットさんとお会いする機会があったんです。そこで「コロナで世界中みんなが沈んだ気持ちになっているときだからこそ、たくさんの人を笑顔にする、ハッピーにすることは大事」とお話が盛り上がったそう。そうして、アリミノが接点を持つサロンに飾ってもらい、お客様とのコミュニケーションのきっかけづくりになるアートプロジェクトが始まりました。

―― 世界を明るくしたい、笑顔を増やしたいという思いが重なったんですね。最初にコレットさんとのコラボの話を聞いたときは、どう思われましたか?

池田「赤レンガ倉庫の天使の羽なら知ってる!」とうれしかったです。でも後から、コレットさんがアートへの強い思いゆえに営利目的には使いたくないという考えから企業との正式コラボをしておらず、今回が初だと聞いてすごく驚きました。

社員も多くの人が一度はコレットさんのアートを見たことがあるから、自社の社名が入った作品ができたことびっくりしていましたね。一方でサロンに飾るアートをつくるという話は、「良い企画だね!」と好印象でした。

―― プロジェクトを通してサロンとの関わりやSNSの投稿を見る中で、発見や驚いたことはありましたか?

打矢美容師さんもお客様も、特に若い世代を中心に、社会問題や環境問題に関心がある人が増えてきていると実感する機会になりました。最初はアートに関心がある美容師さんが今回のプロジェクトに興味を持ってくださったのかと思っていたのですが、それだけではなかったんです。「愛と平和というメッセージを広げたい」という思いで参加くださった美容師さんもいらっしゃるんですよ。

もちろん、これまでも薬剤の環境への配慮や節水への意識が高いサロンさんはいらっしゃいました。でも、そうした具体的な行動だけでなく、「メッセージを表明するためにタペストリーを飾りたい」という声をいただいたことで、改めて社会問題への意識の高さを実感し、驚きました。

打矢話を聞いていくと、新卒で入社してくる美容師さんも、社会問題・環境問題に関心がある人が増えてきているそうです。今は学校でSDGsを学び、SNSにも早くから触れて世界の情報を得ているのだと思います。サロンワークは若いお客様と接する機会も多いので、必然的に美容師さんの社会に対する意識も高まっているのかもしれませんね。また、2022年に入って戦争のニュースなどもあり、よりそうした意識が高まっているのだろうとも感じました。

「#ハネプロ」でつながり、顔が見える関係をこれからも

―― 今後はどのような広がりを見せていくのでしょうか?

池田まず私たち社員が、このプロジェクトを通して笑顔を届けたいという思いを形にするべく、タペストリーの前で撮った社員100人分の写真を集めました。その写真を活用して、業界誌の11月号に広告を掲載。また9月初旬からはアリミノオフィシャルインスタグラムのストーリーズでも、写真を投稿いたしました。

―― スーツの方から白衣の方まで並ぶと、漠然とした「企業」ではなく、いろんな役割の方がいるんだなと、中の「人」が見えてきますね。

池田そうですよね! 美容師さんがSNSに投稿してくださったタペストリーの前で撮影した写真を見ても、やっぱり「顔が見える」とうれしくなるんです。だから我々も、自分たちが楽しんでいる姿をお見せしていき、その様子に共感していただけたらいいなと思っています。

その共感の穏やかなつながりから、アリミノとコレットさんの「愛と平和」の輪が大きくなり、笑顔の連鎖が起きることを楽しみにしています。

打矢タペストリーと笑顔でよりつながりが生まれるよう、新たにプロジェクト独自のハッシュタグ「#ハネプロ」を用意しました。サロンに飾った天使の羽の前でスタッフの皆様の和やかな様子を撮影してハッシュタグと一緒に投稿いただいたり、お客様に楽しんで施術後のスタイルを天使の羽の前で撮っていただけたりするとうれしいですね! 美容師さんもお客様もみんながハッピーになり、コミュニケーションが生まれる。このプロジェクトがそのきっかけになればいいなと願っています。

コレット・ミラー

アメリカ・ヴァージニア州出身。ロスアンゼルス在住。Richmond Virginia Common-wealth University アートスクールを卒業。UCLAにて映画研究・編集を勉強し、ドキュメンタリー映画project “The GlobalAngel”を立ち上げる。2012年ストリートアート“Angel Wing Project”をスタート。瞬く間にSNSによってムーブメントとなる。世界に幸せを広げることを目的に活動し、敢えて治安の悪い場所やアートが身近にないようなエリアを好んで、誰もがエンジョイできる無料のストリートアートを世界中でつくりだしている。

●グローバル エンジェル ウィングス プロジェクト :
https://globalangelwingsproject.com/
●コレット・ミラー コレクション(ファッションブランド):
https://colettemillercollection.com/

(取材・文/小笠原ゆき、編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)
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