「今回のおすすめは?」今ではお客様から聞かれるように! アリミノと共に10年以上継続してきたサロンオリジナルのカラー提案が、ブランディングにつながった——Cocora
地元で長年愛されている大阪府松原市のサロン「Cocora(ココラ)」では、10年以上にわたり季節ごとにサロンオリジナルのカラーレシピをお客様へ提案しています。毎回アリミノによる講習を踏まえてカラーレシピを開発。その数は毎シーズン8〜9色にもなります。ファッションカラー、グレイカラーに関係なく、すべてのお客様にもっとカラーを楽しんでもらいたいという思いから始めた取り組み。今ではお客様にも定番となり、「今期のオリジナルカラーは?」と聞かれることもあるそう。さらにカラー提案で培われた信頼関係が、お客様の美容意識の高まりやそのほかの提案にもつながり、「コアミー リペアティブ」をはじめとするホームケアの店販も好調だといいます。今回は、そんな「Cocora」の明るいオーナー・西村久美子(にしむら くみこ)さんと、サブチーフ・スタイリストの福田夏美(ふくだ なつみ)さんに、オリジナルカラーの提案に取り組んだ経緯や成果を伺いました。
導入の背景 | ●紙面上のカラーチャートや写真だけでは、お客様に実際の仕上がりイメージを伝えるのが難しかった ●ファッションカラーでもグレイカラーでも、もっと気軽にカラーを楽しんでいただける提案がしたかった |
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選んだ理由 | ●講習でその季節のトレンドを知れるので、毎回流行に合わせたオリジナルカラーが考案できる |
導入による変化 | ●カウンセリング時に色の提案がしやすくなった ●季節のオリジナルカラーがお客様に定着し、毎回楽しみにしていただけるようになった ●お客様との信頼関係が深まり、カラー以外のご提案もしやすくなった ●カラー剤の在庫管理がしやすくなった |
導入前の課題:ファッションカラーのお客様にも、グレイカラーのお客様にも、飽きがくることなく楽しめるカラーを提案したかった
―― 10年以上にわたって、季節ごとにオリジナルカラーの提案をされていると伺いました。なぜ、サロンのオリジナルカラーをつくるようになったのですか?
西村さん(以下敬称略):お客様が何を求めているのかしっかりと考えたいという気持ちがありました。当店は地域密着型で、お客様は幼稚園児からおじいちゃんおばあちゃんまで、幅広い層の方が長く通ってくださっています。そこで、いつでも明るく新鮮な気持ちになっていただけるように毎回なにか新しい提案をしたい、お客様にもっと気軽に楽しくカラーに挑戦していただけたらいいなと思っていました。
でも、カウンセリングでカラーのイメージをしっかり伝えるのって、難しくて。メーカーさんのカラーチャートやSNSなどの写真をお見せしてご説明したりするんですけど、アンダーの色みや明るさによっても色が変わってくるので、実際の仕上がりは写真とは異なります。その違いってお客様からしたらイメージしにくいですよね。
福田さん(以下敬称略):私たちも、写真や紙に印刷されたものだけだと、伝えるのがちょっと難しくなってしまいます。もちろんメーカーさんもチャートの色の表現などいろいろ工夫くださっているのですが、やっぱり実際の手触りや光の当たり方による変化などはわかりにくい。中にはせっかくカラーに挑戦したいと前向きで素敵な気持ちがあったのに、イメージを持ちにくいことで不安を感じてしまうお客様もいらっしゃったかもしれません。
西村:それで、どう取り組んだらいいのかなとなんとなく考えていたときに、アリミノさんからカラー講習とオリジナルカラーづくりを提案されて取り入れてみたのが、もう約10年前ですね。
―― オリジナルカラーは、ファッションカラーのみの提案でしょうか?
西村:いえ、同じレシピでグレイカラーのお客様にもご提案していますよ。
もともと私はグレイカラーのお客様に「白髪を暗く染めて隠すのではなく、明るくしていったほうがいいよ!」とおすすめしていて。これまでのいわゆる白髪染めは白髪を隠すことが第一になっていたので、季節に関係なく同じような色になりがちでしたが、グレイカラーの方だって春夏秋冬で髪から気分を変えられたら楽しいはず。きっと、鮮やかできれいなカラーに染めたいとどこかで思っているはず。それに、同じような白髪染めばかりをしていると、そのうち施術をする側もされる側も飽きてしまうと感じていたんです。だから、オリジナルカラーづくりに取り組んだもう一つの理由には、グレイカラーのお客様にもカラーを楽しんでもらいたいという思いもありましたね。
オリジナルカラーの提案をするようになり、おかげさまで今では50%以上のお客様がカラーの施術を受けられています。
―― 3世代が通い、10代のお客様も多いサロンでカラー比率が50%以上というのは、かなり高い割合ですね!
西村:確かに、そうかもしれないですね。オリジナルカラー提案に加えて、年会費を払うとカラーが半額になる「グレイカラー会員」という取り組みを行っているのも、カラー施術率の高さに一役買っています。
―― それは大胆な、お客様にとってはとてもうれしいメニューですね。
西村:白髪が気になってくるとすぐ染めたくなるけれど、サロンのカラー料金が高いととりあえずホームカラーで……となってしまう方もいらっしゃいます。髪のダメージを配慮したら、できるだけホームカラーではなくサロンで染めていただきたいので、サロンカラーを身近に感じられるようにしたかったんです。
一方で、このような取り組みを行なうからには「サロンで染めても、家で染めても一緒だね」と思われてしまうと意味がありません。美容師としてもそう思われてしまっては悔しいので、グレイカラーの方でも明るく楽しめるオリジナルカラーづくりは常に意識しています。
オリジナルカラーの提案を選んだ理由:アリミノによる講習で「次のシーズンのトレンド情報」を教わることで、飽きのこないカラーをつくりだせる
―― オリジナルカラーは、具体的にはどのようにつくっているのでしょうか?
西村:3か月に1回、アリミノのインストラクターさんによる講習とカラーづくりをする会を行なっています。まず講習で、アリミノのインストラクターさんから次のシーズンのトレンドカラーやファッションの流行を教えてもらう。そのあとに、流行色に基づいて各スタッフがカラーを考案し、それぞれ実際の毛束に染めてみる。そうして各々つくった色を持ち寄って、「ここはこうしたほうが良い」とか「こういう調合はどうだろう」と、みんなで議論します。
福田:これがとっても楽しいんですよ。色づくりもアリミノさんに参加いただいて、この前は2色つくっていただいたかな。カラーの名前も、流行色を参考にしながら、アリミノさんと一緒につけているんです。もう、スタッフの一員みたいな状態ですよね。スタッフ同士で知識の共有ができるのはもちろん、アリミノさんと一緒になって取り組めることで、よりにぎやかで明るい場になっています。
―― オリジナルカラーは、いつも何色くらい考案するのでしょうか?
西村:毎回8色から9色ほどつくっています。オレンジ系・赤系・ピンク系・青系・グリーン系・紫系・グレイッシュ……といった具合で、暖色も寒色も幅広くカバーするように意識しています。それぞれの色はスタッフで分担していますし、もうすっかり定例の一大イベントになっているので、考案も毛束染もテンポが良く進められて、早い時だと講習から毛束の完成まで1時間半で終わりますね。
―― 3か月ごとに考案していると、「この色は前につくったし……」とマンネリ化してくることはありませんか?
西村:だからこそ、カラーづくり前のアリミノさんの講習が重要なんです。毎回、その時々のトレンドを踏まえた資料を持ってきてくださるので、いつも新鮮な気持ちで講習を受けられています。色についてだけでなく、メイクやファッションの傾向も教えてもらえるので、それに合わせて「こんな雰囲気がいいんじゃないか」「この色をベースに、こんな表現を加えよう」と考えていける。そうやってつくっていくことで、例えば同じ暖色系であっても季節ごとに少しずつ色が変わり、マンネリ化することもありません。むしろ、その違いを楽しみに待ってくれるお客様が増えました。
福田:私たちスタッフにとっても、そろそろ季節の変わり目だなという時期には講習があることが、当たり前になっていますね。「絶対しなくちゃいけない」という気持ちはゼロ。新しいカラーをつくるのが毎回楽しみですし、お客様に合った提案をするためにはこの講習が欠かせなくなっていますね。
導入時の工夫:講習でつくった毛束をPOPにして店内に展示。白い毛束とブラウンの毛束への染め出しを並べ、実際の仕上がりをイメージしやすくする
―― オリジナルカラーづくりには、「カラーストーリー アドミオ」(医薬部外品)と「アジアンカラー フェス」(医薬部外品)を使用されていると伺いました。それぞれ、どのように使い分けているのでしょうか?
西村:「カラーストーリー アドミオ」は透明感のあるグレイッシュな色みが特長なので、薄く透き通る色を表現したい時によく使いますね。赤みを抑えたいというお客様が多いので、アクアやベイリーフを組み合わせることが多いです。
ビビッドな色を鮮やかに出したいときは、発色の良い「アジアンカラー フェス」を重宝しています。特にCLEAR SILVER、CLEAR PINK、CLEAR ASHはブリーチ毛でもきれいな色みを表現してくれて、使いやすいですね。
福田:最近は「脱・白髪染め」を希望されるお客様も増えてきました。そういう方には「アジアンカラー フェス」のGRAY、ASH、NATURALを使って白髪がなじむ色をつくることが多いです。
西村:オリジナルカラーには使っていませんが、白髪が気になるというお客様には「カラーストーリー プライム」(医薬部外品)が使いやすく、根元のリタッチに重宝しています。明るいのにしっかり染まって、退色も良い具合に進むんですよ。主に使っているのはNG、OB、NB。メンズはGRが多いですね。
―― オリジナルカラーのレシピは、サロン内でどのように共有しているのでしょうか?
西村:講習で染めた毛束を貼ってPOPにして、その裏側にレシピを書いた紙を貼っています。実際の毛束とレシピをすぐに確認できるので、その色をつくった人以外でも、表側をお客様にお見せしながらすぐに色の特長を説明できるんですよ。お互いの意思疎通がスムーズになって理解が深まりますし、スタッフにとってもお客様に合うオリジナルカラーをより提案しやすくなっていると思います。
アシスタントにとっても、レシピがわかりやすいので、コミュニケーションやカラー剤の用意における負担が軽減されていると思います。
―― POPは、毎回つくっているのですか?
西村:はい、もちろん! POPに全オリジナルカラーを並べることで、お客様にも「今回はこの色があるのね」とか、「今度はこんな雰囲気がいいかも」など選びやすくしています。また、毛束をお見せすると、お客様も気軽に色みを確認できて、手触りまで見ていただけます。
毛束は白い毛束に染めたものと、12Lvくらいの毛束に染めたものを並べています。白い毛束は、元の色のイメージを伝えるため。12Lvの毛束は、お客様に自身の髪で染めた時のイメージを持っていただくことが狙いです。また、2つを並べてお見せすることで、例えばハイライトを入れた時にどう色が変化するかのイメージも持ちやすくなりますよね。
導入の成果:オリジナルカラーがサロンの風物詩に。常連のお客様にはさらなる輝きを、新規のお客様には驚きと感動を提供できるようになった
―― 毎回オリジナルカラーが違うと、お客様の反応も良さそうですね。
西村:そうなんです。それこそ10年やっていると、お客様のほうがオリジナルカラーやカラーの名前を楽しみにしてくれる面もあって。「春カラーはまだ?」と聞かれたり、時には「今度はもっと赤系を入れて!」と提案していただいたりすることもあります。3か月ごとというのがお客様の来店周期に合っていることも魅力のひとつで、お客様が帰り際に「次に来るときは新しい夏カラーが入っている」とワクワク話してくださったりするんですよ。そういった声を聞くと、私たちもうれしくなりますね。
―― 新規のお客様は、オリジナルカラーのPOPを見て、どのような反応をされますか?
福田:中には「白髪でもこんな色にできるの?」と半信半疑の反応をされることもあります。でも、実際に毛束を見たり触ったりしていただくと「これならやってみようかな」という感じでスムーズにご理解いただけるなと、感じていますね。
やっぱり実際に染め上げられた毛束があると「こんな色になるんだな」というはっきりとしたイメージがお客様に生まれているのだと思います。リピートのお客様でも、新規のお客様でも、「これか、これ。どっちがいいかは、おすすめで!」とおっしゃられることもよくあるんですよ。
西村:お任せと言っていただけるのは、お客様と信頼関係ができている証。ありがたいです。また、毛束でイメージを共有することで、カウンセリングも手軽になりましたし、仕上がりの満足度も上がっていると思います。
―― 10年継続してきたことでも、信頼関係が強くなっていそうですね! お客様とのコミュニケーションが変わっていきそうです。
西村:そうなんですよ。お客様にカラーを楽しんでいただけると、私たちも「今度は色みを強調させるためにハイライトをいれてみましょう」といった提案がしやすくなります。さらに、継続して通っていただいたりカラーをしたりすることで、お客様の美容意識が高まり、髪のダメージを配慮する方が増えてきました。それによってシステムトリートメントを受けられたり、ホームケア商品をご購入いただけたりして、良い循環が生まれています。
中でも「30代からのトリートメント!」と提案した「コアミー」はすっかり人気商品になりました。特に「コアミー リペアティブ」は香りが良くて気に入っていますし、お客様からも好評です。カラーのお客様が多いので、カラーや熱によるダメージへのアプローチというのもはまったんじゃないかなと思います。
―― ほかにも、オリジナルカラーの提案をするようになって良かった点はありますか?
西村:意外に大事なことでいうと、在庫管理がとてもしやすくなりました。カラー剤を発注するときに、前回の季節のカラーと比較してよく使っている色は多めに発注したり、使用が減っているカラー剤は少なめにしたりと調整できるんですよ。オーナーにとって在庫の予想がつきやすいのは非常に助かります。
今後の展望:新しい知識や技術を学んで、いつまでもお客様が飽きない楽しいオリジナルカラーを提案したい
―― これからオリジナルカラーの提案やアリミノとの取り組みでどのようなことをやっていきたいか、今後の展望を教えてください。
西村:オリジナルカラーの提案は10年以上も取り組んできたので、喜んでいただいているところは継続しながら、新しい知識や商材をどんどん導入してお客様を飽きさせないようにしたいです。それと同時に、私たち施術者側が飽きてしまわないことも大切なので、新しい技術を耳にしたときには積極的にお話を聞きに行くことを心掛けています。これから、アリミノさんには「ゼロテク®︎(※)」やブリーチの講習もしていただく予定なんですよ。今から楽しみです。
あとは、どんな新しい取り組みであっても、まず自分で体験して、自分が「いい」と思ったものだけを取り入れることは、変わらず大切にしたいですね。先ほど好評だとお伝えした「コアミー」も、最初に自分で試して「いい」と思ったから入れています。もしちょっとイマイチな商品があれば、たとえアリミノさんであってもはっきりと言うようにしています。その感覚はおそらくお客様もきっと同じだと思うので。
福田:オーナーはお客様にとっても愛されているんです。それはオーナーが明るくて元気なのもありますが、こうしたお客様第一のオリジナルカラーや商品の提案が信頼されているからだと思います。
西村:愛されているんでしょうか。ま、そういうことにしておきましょう(笑)。本当に、お客様に親しんでいただけていて、ありがたいです。これからも季節ごとにオリジナルカラーの提案をしていきながら、お客様に寄り添って、明るく楽しいアットホームな美容室にしていきます。
※ ゼロテク®︎:アリミノが1981年から伝え続けている、頭皮に薬剤をつけない塗布テクニック。「ゼロテク®︎」は株式会社アリミノの登録商標です。
西村久美子Kumiko Nishimura
Cocora オーナー
島根県出身。美容室TOMで経験を積み、2011年に「Cocora」をオープン。長年積み重ねてきた経験を活かし、髪質やクセを活かしながら遊び心も忘れずに、お客様の「なりたい」スタイルの提案を心掛けている。「いつも明るく元気」がモットーで、その人柄と一人ひとりに寄り添う姿勢に幅広い層の顧客が厚い信頼を寄せる。
福田夏美Natsumi Fukuda
Cocora サブチーフ・スタイリスト
大阪府出身。小出美容専門学校卒業後、2014年「Cocora」入社。サロンワークでは常に会話や施術を通してお客様との楽しい時間をつくることを大切にしている。確かな技術とその笑顔に若い世代からの支持が厚い。
アリミノの視点
Cocora様では、スタッフ全員にオリジナルカラーを作る楽しさを実感していただけたことが、オリジナルカラー提案の取り組み成功と10年にもわたる継続につながりました。
臨店講習では、シーズン毎にファッションやカラーのトレンド傾向をお伝えし、それに合わせたレシピをオーナー含め全スタッフ様がそれぞれに考えて作成しています。年4回のオリジナルレシピ作成を長年継続することによって、カラー剤の組み合わせによる色みの出方の理解がサロン全体で深まり、お客様にもサロンカラーの楽しさが伝わってサロンのブランディングにもなりました。
継続することでサロン、美容師、お客様それぞれにメリットがあるので、今後もCocora様とご一緒して毎シーズン取り組んでいくとともに、より多くのサロンの皆様にもぜひ取り組んでいただけるようご提案やサポートができればと思います。
アリミノインストラクター 種村圭太
「Cocora」サロン情報
「comfort(ほっとする)」「confidence(信用・信頼)」「radiance(表情・明るい輝き)」がコンセプトのサロン。お客様一人ひとりを大切にし、その人に似合うスタイルを提供する。訪れた人みんなが会話を楽しみ笑顔になるような、明るくアットホームな空間とスタッフの温かなおもてなしが地域の人々から親しまれている。
店舗展開 | 大阪府に1店舗 |
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従業員数 | 3名 |
サロンコンセプト | 「comfort(ほっとする)」「confidence(信用・信頼)」「radiance(表情・明るい輝き)」 |
サロンターゲット | 子どもから大人まで3世代、地域にお住まいの方 |
オリジナルカラーの提案ターゲット | ファッションカラー・グレイカラー問わず、カラーのお客様全体 |
所在地:
〒580-0024
大阪府松原市東新町3-5-17 1F
Instagram:@cocora_hair
(取材・文/直塚大成、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/木村華子)