根元がふわっと立ち上がる「#プリカール」でリピート率も客単価もアップ! SHEA.坂狩さんに聞く、「#プリカール」の魅力とは?
自然にトップがふわっとしたおしゃれなスタイルが作れると注目の「プリカール」。根元部分だけにパーマをかけ、ふわっと立ち上がらせる技術です。表参道に2店舗を構えるヘアサロン「SHEA.」の坂狩トモタカ(さかがり ともたか)さんは、プリカールがより自然に仕上がる独自の薬剤配合とカーラーを考案しSNSでも多数SHEA.流のプリカールについて発信しています。2020年5月から施術を始めると、またたく間にSNSや業界誌、ファッション誌などで話題となり、2021年もその勢いは止まりません。
根元のダメージを軽減、さらに髪が伸びてきたときに跡がつかず自然になじむのがSHEA.のプリカールの特徴。「トレンドではなく、これからスタンダートになっていく技術」と坂狩さんは話します。
そこでSHEA.でプリカールをはじめたきっかけから、具体的な施術方法や提案方法、さらにプリカールによってサロンワークはどのように変化したのか、お客様の反応などを、坂狩さんに伺いました。
伸びても跡が残りにくい! 根元をふわっと立ち上がらせるSHEA.流のプリカールとは?
「プリカール」とは、根元の数センチだけに狙ってパーマをかけ、トップにふわっと感を生み出す技術。ナチュラルな立ち上がりで、朝も乾かすだけでふんわりスタイルが決まり、とても扱いやすい髪型になるのが特徴です。
SHEA.で独自の薬剤配合を考案したのは2020年。1回目の緊急事態宣言が発令された4月に、2週間の営業自粛を余儀なくされ、この期間を利用して何かお客様に喜んでもらえる技術やスタイルはないかを考える中で生まれました。そこでプリカールをメニュー化するとすぐに話題になり、一時は同業の方からひっきりなしにDMが来て、対応できないほどでしたね。雑誌でも特集され、多くの方に知っていただけるようになりました。
根元のポイントパーマは韓国で「アドパーマ」として流行しており、そのため「プリカール」も韓国発祥という誤解がたまに見受けられます。けれど、SHEA.で行っているプリカールは、使用する薬剤の配合もカーラーも、全て異なるSHEA.オリジナルなんです。
僕も韓国主流の根元パーマについては以前セミナーを受けて知ってはいたのですが、強い薬剤を使っているため、髪が傷みやすく、伸びてきたときに変な位置に跡が残るのが難点でした。残った跡への対応はストレートパーマで伸ばすということだったので、そのままSHEA.で取り入れるには髪にかかるダメージが強いなと懸念していたんです。
ただ、根元を立ち上げるパーマ、という考え方には可能性を感じていました。そこで、いろいろ調べて自分なりに薬剤配合を考えたり、ロッドを変えてみたりして試行錯誤したんです。そうして完成したのが、SHEA.流のプリカールです。
薬剤とオリジナルのマジックカーラーの使用がSHEA.流プリカールの条件
SHEA.流プリカールの肝は、薬剤の配合と使用するカーラーの種類。まず薬剤は、プリカールに適したものを絞り込んでいきました。その鉄板の一つが、アリミノの「クオライン」と「コスメカール プリズムプラス」の組み合わせです。
これまで根元は強い薬剤を使わないとパーマがかかりにくいというのが定石でした。一方で、お客様が懸念するのは「髪が傷まないか」「伸びたときに変な跡が残らないか」の2つだと思うんです。でも、強い薬剤を使ってしまうと、失敗したときのダメージがずっと残ってしまう。それは絶対に避けたいですよね。
そこで髪にやさしく自然になじむパーマにできないものかと、当店が提唱している「毛先だけパーマ」の薬剤スペックをベースにアレンジを加えていった結果、根元は頭皮の熱があるのでダメージの少ない弱めの薬剤でもパーマがかかることがわかりました。ただし、それは質のいい薬剤でなければ実現できません。だから、薬剤は重要なんです。
低アルカリで中還元の「クオラインCA-T-C 100」は、髪への負担を考慮しながらカールを出すことができます。実は「クオライン」は開発時に僕のパーマ理論を反映していただいた商材なのですが、時間が経ってからも自然になじむので、「プリカール」に限らず非常に使いやすいパーマ剤なんですよ。「クオライン」をベースに「コスメカール プリズムプラス」を組み合わせることで、しっかりと根元を立ち上げながらも、伸びてきたときに変に跡が残りにくく、自然となじむ絶妙なバランスが実現できました。
2つ目のポイントが、カーラーです。SHEA.のプリカールでは専用のマジックカーラーである「プリカーラー」を使用します。
このマジックカーラーも試行錯誤を繰り返しました。最初はプラスチックの細いカーラーを使ってみたけれど、うまくなじみませんでした。そこでマジックカーラーでもできるのではないかと試したところ、しっくりきたんです。でも、既存品は頭頂部に使うには短いのが難点でした。そこで2本を接着剤でくっつけたり、中に細いロッドを入れて芯にしてみたり…。そうこうしているうちに自分で作ろうと、あるメーカーさんに熱弁して作ったのがプリカーラーです。
SHEA.流プリカールでは、カーラーは髪を巻き込むのではなく、かませて乗せます。そこでずれにくいように櫛歯をつけました。さらに頭の形に沿うようにミリ単位でカーブを調整。また2本を連結して使えるようにし、頭頂部だけでなくさまざまな部分に使えるようにしました。自分で言うのもなんですが、これが本当に使いやすくて。試しに自分の頭につけたときに「これなら誰でもできるな」と確信しましたね。
今SHEA.で提供しているプリカールは、アリミノの薬剤でプリカーラーを使用すれば、決して難しい技術ではありません。ですが、ここを適当にすると全く別のものになってしまいます。そのため、他サロンさんや美容師さん向けに、メーカーさんでSHEA.流プリカールのセミナーを開催、プリカーラーも販売しています。
プリカーラーで自然な立ち上がりを実演する。お客様へのおすすめのコツ
プリカールをご存知ない新規の方には、カウンセリングで「根元のボリューム、気になりますか?」とお尋ねすることからはじめることが多いですね。「今、根元にだけダイレクトにかけられるパーマがあるんですけど」と提案しながら、プリカーラーを根元にかませてドライヤーで熱を与え、立ち上がりを実際に見せるんです。
その上で「この自然な立ち上がりをパーマで再現できます。毎朝乾かすだけでこうなりますし、伸びてきたときも自然になじむんですよ」と伝えます。そうするとほとんど皆さんがプリカールをご希望されますね。
これまでトップはカットで立ち上がりやすくしたり、ミストなどを使ったスタイリングなどで解決していたのですが、それらがこの1年で一手にプリカールに変わりました。
ダメージを軽減しながら根元に使えるので、非常に応用が効き、耳元に使って顔まわりの補正はもちろん、前髪の立ち上がりや、つむじ割れにも対応できます。だから、どんなスタイルとの組み合わせでもおすすめできる。特に耳元へのプリカールは、華やかで抜け感のあるスタイル作りでは重宝し、人気もあります。
そんなSHEA.流プリカールを活かして、新しいスタイルも考案しました。その名も「ベルモリヘア」です。
「ベルモリ」とは、英語で鐘を意味する「ベル」に韓国語で髪という意味の「モリ」を合わせた造語。その名の通りトップをプリカールでふんわりと立ち上げ、ベルのような形をした外ハネくびれラインのミディアムヘアです。軽やかさと華やかさがあり、少しずつオーダーが増えています。これからますます人気になりそうなスタイルです。
高いリピート率、トリートメントとの同時施術も可能で客単価もアップ
納得の配合とカーラーができ上がりメニュー化するにあたって、メニュー名は複数の案からサロン内で多数決をとることに。韓国語で根元という意味の「プリ」に英語の「カール」を合わせた造語の「プリカール」に決定しました。緊急事態宣言明けからさっそくメニューに出したのですが、お客様の反応ですぐにヒットを予感しました。最初は根元の立ち上がりに悩みのある大人女性世代に向けて発信していたのですが、それが20代のお客様にも響いて。
それこそ近年人気の巻髪スタイルやくびれたスタイルとも相性が良いですし、スタイリングがラク、リモートワークでの画面映えも良いということで、すぐにリピートされるお客様が現れました。今ではサロンワークでプリカールをしない日はほとんどないですし、気がつくとセット面に座ってらっしゃるお客様がみんなプリカール放置中ということも多いです。
また、一度プリカールを施術された方の多くが、1〜2ヶ月で「そろそろとれてきちゃったから」と再来店されます。プリカールのパーマリタッチをみんなで“プリタッチ”と名付けるくらい定番になっています。当店以外でSHEA.流のプリカールを導入しているサロンさんでも、リピート率が高いそうで「今日も“プリタッチ”が来たよ」なんて話も聞くほどです(笑)。
トリートメントを同時施術できることもプリカールの利点です。トップにはプリカール、毛先にはトリートメントを同時に施術することで時短になりお客様へのご負担も減りますし、サロンにとっては客単価のアップにもつながっているんですよ。
現在はプリカールの支持は女性のお客様が中心ですが、この先は男性のお客様にも支持されるのではと思っています。やはりナチュラルにボリュームが出せるというのは男女関係なくうれしいですし、スタイルでも若い方に人気のセンターパートともプリカールは相性が良いんですよ。
「プリカール」はこの先サロンのスタンダードな技術になっていく
リピートされるお客様の中には「最近、髪の状態が悪くなっちゃって…」という方もいるのですが、それは髪質が弱っているのではく、パーマがとれてきたために根元の立ち上がりが弱くなっているんです。つまり、そのお客様にとってはプリカールでつくったスタイルの状態が、もはやスタンダードになっているんですね。
プリカールは今でこそバズっていて、流行のメニューと思っている方もいるかもしれませんが、僕はそういったトレンドではなく、スタンダードになる技術だと考えています。5年後にはどこのサロンでも当たり前に受けられるメニューとして定着していくのではないでしょうか。
自分の中ではすでに完成形に近いSHEA .流のプリカールですが、最近はさらに進化できる部分はないかということも考えています。例えば、プリカールと合わせて、地肌をケアして根元からハリコシにアプローチする「スプリナージュ パフリフレッシング ミスト」を使えば、より髪がふんわりと立ち上がってプリカールも長持ちする。そういった新たなご提案もしていってお客様の悩みを解決し、サロンやメーカーすべてが幸せになるプリカールという技術をさらに極めていきたいですね。
坂狩トモタカTomotaka Sakagari
SHEA. 代表
福岡県出身。資生堂美容専門学校卒業。都内1店舗を経てAnZie入社、代表を務めたのち、2018年9月に「SHEA.」をオープン。2019年9月に2店舗目となる「SHEA.aoyama」をオープンした。2020年にはプリカールをSHEA.独自の薬剤配合と施術方法でメニュー展開し、注目を集める。著書に『#毛先だけパーマ』『#育てるハイライト』(ともにエイ出版社)がある。
Instagram:@shea_sakagari
(取材・文/橘川麻実、撮影/河合信幸)
動画で学ぶ! SHEA.×ARIMINO 「#プリカール」最新トレンド ヘアデザインを簡単に!
お客様の多くが悩んでいる「小顔に見せたい・トップのボリュームアップ」という点をSHEA.流の「プリカール」で解決。普段パーマをかけていないお客様にも大満足なメニュー「プリカール」を、クオライン・コスメカール導入店限定で、動画で学べます。
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- 講師
SHEA.代表
坂狩トモタカ氏
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- 学べること
・「プリカール」とは
・根元ふんわり「自然なボリューム」の提案方法
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- 受講方法
クオライン・コスメカール導入店限定公開。ご覧になりたい方はアリミノ営業担当までお問い合わせください。