処理剤への意識がガラリと変化。リニューアルしたシェルパでデザインの幅が広がり、客単価と満足度がアップ ―salon nvy
2022年9月にリニューアルした処理剤ブランド「SHERPA(シェルパ)」(化粧品)。大阪に3店舗を構える「salon nvy(サロン ネイビー)」では、時代と共に変化するニーズに応えるべく、今回大胆に生まれ変わったシェルパを開発段階から試験導入してきました。しかし、代表の吉井 亨(よしい とおる)さんは、以前は処理剤の必要性をあまり感じていなかったといいます。そこからなぜ新シェルパを導入することにしたのでしょうか。新シェルパ導入による処理剤への認識の変化や、実際の使用感やお客様の反応など、さまざまな視点から語っていただきました。
導入の背景 | ●度重なるブリーチや、エイジング毛へのブリーチなど、施術時にダメージを懸念する場面が増えていた |
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選んだ理由 | ●きれいなデザインをつくるために、髪のコンディションを整える処理剤の重要性を感じた ●お客様一人ひとりの髪に合わせて、5つのアイテムをカスタマイズできる |
導入による変化 | ●これまでダメージを考慮しパーマやブリーチを諦めていたお客様にも、提案できるように ●デザインの幅が広がり、客単価、顧客満足度、スタッフの達成感が徐々に向上 |
導入前の課題:顧客の高年齢化やブリーチの繰り返しによるダメージで、提案できるデザインの幅が狭まっていた
―― 今回リニューアルされたシェルパを試験導入する以前は、どのような課題を感じていましたか?
吉井さん(以下敬称略):僕自身がスタイリストになって20年ほど経ちますが、初期からのお客様が自分と共に年齢を重ねてきて、グレイヘアやエイジング毛のお悩みを聞くことが増えてきました。皆さま、「カラーやパーマを楽しみたいけど、髪へのダメージが気になる」とおっしゃいます。今後こういった声はどんどん増えていくでしょうから、何かしらの対策の必要性を感じていました。しかし、その声に対する明確な答えを見いだせず、歯がゆい思いをしていたんです。
30代くらいから白髪やパサつきなどのお悩みが出てきはじめ、「ダメージが気になるのでこれまでと同じように明るいカラーやパーマを楽しめない」という方は少なくありません。もちろんカット技術やサロントリートメントでできる限りダメージへ配慮しながら、ホームケアのご提案などもおこなっていますが、それだけでは解消できないところもあります。せっかくサロンに足を運んでいただいているのだから、お客様がデザインを楽しめるように、新しいプラスワンの提案が必要だなと考えていました。
―― サロン全体でも、同じような課題があったのでしょうか?
吉井:近年のハイトーンカラー人気で、サロン全体でもブリーチの比率が上がっています。40代以上のお客様からもブリーチのご希望が多くなっているんですよ。そうなるとやはり気を遣うのが、お客様の髪の状態。若いお客様でもブリーチ回数を重ねればダメージは蓄積しますし、大人女性へのブリーチや度重なるブリーチに対して「その後のダメージにつながるのではないか」と怖さを感じているスタッフも多かったように思います。
シェルパを選んだ理由:5種類からカスタマイズできるのが魅力。これならお客様の悩みに応えられるのではと感じた
―― どのような経緯で新しいシェルパを試験導入することになったのでしょうか?
吉井:アリミノの営業さんからリニューアルに当たって共同開発のお誘いをいただき、何度もお話を伺って、試験導入してみることにしました。
でも実は、最初は処理剤に対して「ダメージのある髪に対して、どうにかカラーやパーマを施術するために使うもの」という印象があり、僕自身はあまり魅力を感じていなかったんです。当店では「髪の素材美を大切にしたい」という考えから無理な施術は行わないようにしています。また、近年はパーマ剤やカラー剤が進化してきてダメージに配慮したものが増えてきているので、薬剤選びで必要最低限のアプローチをすれば良いと考えていました。
けれど、デザインの土台となる髪の状態を基から整えることができるというシェルパの特長を聞いているうちに、「シェルパを使えば、よりきれいなデザインをつくれるようになるんじゃないか? お客様のエイジング毛や繰り返すブリーチに感じている課題の解消につながるんじゃないか?」と考えが変わっていったんです。
―― 実際に試験導入してみて、どう感じましたか?
吉井:試作品を試して、評価を伝え、それが次の試作品に反映され……と回を重ねるごとに「これは、自分が求めているアイテムかもしれない」と思うようになりました。
「nvy(ネイビー)」という店名には、色名のほかに「誠実・正直・真面目」という意味があるので、常にお客様に真摯に向き合っていきたいと思っています。その中で、シェルパは髪のコンディションが理由でデザインを楽しめないと悩んでいる方に誠実に応えられるアイテムになりうるかもしれないと感じました。
吉井:特に5つのアイテムがあって、カスタマイズできるのが良いですね。きれいなカラーやパーマをつくるには、まず髪のコンディションを整えることが重要です。例えばブリーチの繰り返しや複雑な履歴によって、新生部と既染部でダメージの度合いが違う場合は、前処理の有無で仕上がりのクオリティが大きく左右されます。施術の要所要所でダメージを補修したい部分だけを選択してカバーするなど、カスタマイズして細かく使い分けられるシェルパは、非常に重宝します。
―― 5つのアイテムそれぞれに対しての印象はいかがですか?
吉井:それぞれの役割をしっかり果たしてくれる「適材適所」のラインアップになっていると思います。すべてのアイテムが魅力的なのですが、特に「ボンドメモリアリキッド」は、ヘタりがちなエイジング毛にパーマをかける際に使ってみたところ、大きな魅力を感じました。髪が扱いやすくなって、本当にきれいなカールが出しやすくなるんですよ。70代のお客様に対して、シェルパを使用した上でパーマ施術をし、しっかりリッジ感が出たときは、「おお!」と感激しました。
―― 本格的に導入したら、サロン全体ではどのような変化が生まれそうだと予感しましたか?
吉井:これなら今までパーマやブリーチを諦めていた人にもご提案できそうだなと思いました。なにより「ダメージを考慮するなら、やめたほうがいいですよ」と言わないでも済むようになりそうだな、というのが個人的にはうれしかったです。
導入時の工夫:パーマやカラーとセットにしてメニュー化することで、お客様に選んでもらいやすいように
―― 導入までに、サロン内の教育や準備などで気をつけたことはありますか?
吉井:「なぜ今シェルパを導入するのか」ということはしっかり伝えましたね。あとは、実際にシェルパを使った施術の仕上がりをLINEグループで共有したり、各店のスタイリストに直接使用方法をレクチャーしたりしました。アイテムが5つと絞られていてそれぞれの役割が明確なので、スタッフにも「『ベースエイドミスト』は均一なベースづくりに」「『コアプロテクトミルク』は特にダメージが気になる部分に使って補修」「軟毛やブリーチ毛の方には『ボンドメモリアリキッド』を使って」など説明しやすかったです。
そこからサロン全体でスタッフやモデルさんでのテストを重ね、メニュー化の準備をしていきました。開発段階から試験導入サロンとして関わっていることはスタッフみんなが知っていたので、本格導入はスムーズだったと思います。実際、テストの段階からシェルパによる仕上がりの変化を感じているスタッフが多かったですね。
―― 処理剤は他のメニューに比べるとお客様には馴染みの薄いものだと思いますが、お客様へのご提案や説明で工夫したことはありますか?
吉井:たしかに「処理剤」という言葉は耳慣れないかなと思ったので、シェルパを使用したメニューは「リノケア」という名前で、一連の行程をそれぞれのメニューに組み込んでいます。リノケアパーマ・リノケアカラーの場合はプラス1,500円、リノケアブリーチの場合はプラス2,500円。レングスなどで差をつけずにシンプルな価格設定にしたのは、お客様にとって分かりやすく、選びやすいようにという気持ちからです。
当店はもともとトリートメント比率が高く、ヘアケアへの意識が高いお客様が多いので、重要性や特長がしっかり伝われば「ウチのお客様なら受け入れてくれるはず」と思っていました。そのためにも「分かりやすい」ことを大切にしましたね。
導入の成果:客単価と顧客満足度が徐々にアップ、これからの継続利用に期待
―― 導入後、集客や売上面など、どのような成果がありましたか?
吉井:いきなり爆発的に売上が上がったというわけではありませんが、着実に客単価はアップしています。普段からシステムトリートメントをされているお客様は高確率でご利用になっていただいています。また、いつもはトリートメントメニューを選択されないお客様も、リノケアをご提案すると大半が好反応を示してくださいますね。
―― 具体的に、お客様へはどのように提案されているのでしょうか。
吉井:デザインのご提案時に合わせておすすめすることが多いです。例えば「こういうカラーにしたい」とご希望があった場合、「それであればリノケアで髪の状態を良くしてからカラーをすると、きれいに発色して色持ちも良くなりますよ」とお話しています。
ご提案で大切にしているのは、シェルパとはどのようなもので、どういう目的で使うのかをお客様に納得いただけるようにすること。やはりカットやカラーの料金にプラスで料金をいただくわけですから、しっかり目的をお伝えしてご理解いただく必要があります。
そこで活用しているのが、施術プロセスを説明するためのポップです。シェルパは施術の前・中・後と複数の使用場面がありますから、その行程を分かりやすく説明することは大事だと思っています。
吉井:デザインのクオリティにこだわりのある方には、リノケアを提案すると積極的に選んでいただける印象がありますね。単に髪のダメージを補修するだけでなく、理想の仕上がりに近づけるのに役立つことが分かれば、興味が湧きやすいのだと思います。
―― 実際に施術されたお客様の反応はいかがですか?
吉井:髪質の変化を感じ始める30代のお客様は特に、「髪のダメージを心配しないでハイトーンカラーができる」と喜ばれる方が多いですね。また、今まではダメージ度合いから極力諦めてもらっていたブリーチ毛の方からのパーマ希望にも、シェルパを使うことで応えられるようになり、スタッフ・お客様どちらの満足度も上がっていると思います。
やっぱり、思い通りのカラーやパーマスタイルが楽しめることは、お客様にとってもスタッフにとってもうれしい。施術している側としても狙い通りのデザインができたら達成感が生まれ、自ら積極的にお客様へご提案するようにもなります。実際にスタッフが積極的に提案しているのも、客単価のためというよりもデザイン実現率が高くなるからだと感じています。
―― 本格導入から1カ月ですが、導入前に抱いていた課題は解消できましたか?
吉井:「『エイジング毛やブリーチ毛でもカラーやパーマを楽しみたい』というお客様の希望を叶えたい」という課題はクリアできていると感じています。すでにリノケアをリピートされているお客様もいらっしゃるんですよ。まだ本格的なメニュー展開をはじめたばかりなので、使用比率など数字面の成果はこれから上がってくるところだと思いますが、今後も着実にお客様からのニーズは高まっていくと見ています。
今後の展望:処理剤は今後、なくてはならないアイテムになる
―― リニューアルしたシェルパを使って、今後やっていきたいことや展望はありますか?
吉井:高齢化が進む中で、グレイヘアやエイジング毛に悩むお客様が増えるのは、紛れもない現実です。その中でいくつになってもヘアデザインを楽しんでいただくために僕ら美容師ができることを考えていくと、ダメージを未然にケアして髪のコンディションを整えるシェルパのような処理剤は、欠かせないものになっていくのではないでしょうか。多くのお客様の髪を美しく保てるよう、引き続きより仕上がりを良くする使い方を探求しながら活用していきたいです。
吉井 亨Toru Yoshii
salon nvy 代表
和歌山県出身。大阪美容専門学校通信科卒業後、1店舗を経て、2018年2月「salon nvy」を大阪府北浜にオープン。素材美を大切にしながら、お客様の「なりたい」スタイルを提供。ナチュラル、モードなサロンスタイルはもちろん、クリエイティブなデザインへの評価も高い。また、雑誌撮影、セミナー講師、イベント登壇など、多方面に渡り活躍。コンテストの受賞歴も多数。「KAMI CHARISMA AWARD 2022」では、一つ星を受賞。
Instagram:@toruyoshii
アリミノ営業担当者コメント
nvyさんはデザインとケミカル共に、高いレベルの施術をお客様へ提供されているサロン様です。当初は処理剤に対してその効果や必要性に疑問を持たれていましたが、1年半の開発期間を通して何度も評価していただき改良を重ねて完成したシェルパは、エイジング毛やダメージ毛の方へのデザインづくりになくてはならない物だと感じていただけるようになりました 。また、シェルパをパーマやカラーのメニューと組み合わせてパッケージ化し、「リノケアカラー」「リノケアパーマ」としていち早く展開。しっかりとお客様に価値を感じていただけるようポップを活用して施術プロセスを説明することで、いつものメニューにプラスでシェルパ施術を選択されるお客様が増え、トリートメント比率を下げることなく客単価もアップしています。
美容師様とお客様にこれからもステキなヘアスタイルを楽しんでいただけるよう、アリミノ製品を通してサポートいたします。
(名阪営業部 大阪第1支店 河邊広明)
「salon nvy」サロン情報
「あなたらしく人生を楽しむことができ、心が豊になるお手伝いをいたします。」を理念に、一人ひとりの魅力を引き出すトレンドスタイルを提案する。ネイビーという色の意味が持つ「信頼・誠実・安心・正直・真面目」を大切に、お客様に「あなたたちに出逢えてよかった」と思っていただけるサロンを目指している。
店舗展開 | 大阪府に3店舗 |
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従業員数 | 16名 |
サロンコンセプト | 「信頼・誠実・安心・正直・真面目」を指針にお客様に寄り添い、一人ひとりが心豊かに、自分らしく人生を楽しむことができるようお手伝いをするサロン |
サロンターゲット | 20代から大人女性まで、幅広い年代の女性 |
導入年月 | 2020年12月〜 共同開発参加(製品発売は2022年9月) |
salon nvy
〒541-0041 大阪市中央区北浜2-1-2 昭和
興産北浜ビル 3F
Webサイト:
https://salonnvy.com
(取材・文/橘川麻実、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/木村華子)