グレイカラーへの本音を徹底トーク! SUNVALLEY代表 朝日氏×美容エディター 伊熊氏が語った、リアルなトレンドとは? ——イベントレポート
これまでの「グレイカラーは暗くなってしまう」などといったネガティブなイメージを払拭し、年齢を重ねても自由に髪色を楽しんでほしいという思いからリニューアルした「カラーストーリー プライム」(医薬部外品)。その発売を記念して、人気ヘアサロン「SUNVALLEY(サンバレー)」代表の朝日光輝氏と、毛髪診断士・美容エディターの伊熊奈美氏をゲストにお迎えし、スペシャルトークLIVEを開催しました。
これまで数々の女性誌で白髪のお悩みに向き合ってきた伊熊氏だからこそ話せる、「白髪に対する女性の気持ち」や「大人女性がヘアカラーに求めているもの」。さらには、長年トップヘアメイクアーティストとして、多くの女性たちにリアルトレンドを伝えてきた朝日氏ならではの視点で語っていただいた「カラーストーリー プライムで広がる表現」や「ポジティブなグレイカラーの提案方法」など、新時代のグレイカラーに注目する美容師さん必見のイベント内容をご紹介します。
(イベント司会進行:フリーアナウンサー 小川りかこさん)
35歳以上の2人に1人が白髪あり! 大人女性が抱く“白髪の本音”とは?
―― 伊熊さんは美容エディターとして、普段から女性のさまざまな声を聞いていらっしゃると思いますが、白髪に対してはどのような気持ちやお悩みが届いていますか? (司会・小川さん)
伊熊さん(以下敬称略):まず「白髪の1本目、2本目を見つけたときはショック」と皆さんおっしゃいます。最初はほとんどの方が見なかったことにしようとしたり、抜いてみたりするんですよ。でも、白髪がそのうちどんどん増えてきて、今度はどうカバーしていくかが切実なお悩みになってくるんです。私が携わっている女性誌で30〜50代の女性に取っている「髪のお悩みアンケート」でも、もうずっと「白髪」がお悩みナンバー1ですね。
―― やはり白髪のお悩みがある方は多いのですね。朝日さんは著名なモデルやタレントの方も数多く施術されていますが、そういった方々にも同じような白髪の悩みはあるのでしょうか?
朝日さん(以下敬称略):同じ人間ですから、もちろんありますよ(笑)。モデルやタレントの方でも、一般のお客様でもそうですが、長くお付き合いさせていただいている方は僕の美容歴と共に年齢を重ねてきているので、白髪の悩みを相談されることは増えましたね。
―― 私も白髪を発見してはいるのですが、まだ“白髪染め”は使ったことがないんです。暗く染まるようなイメージがあって、いつから使えばいいか悩んでいます。
朝日:近年の薬剤は、今回発売された「カラーストーリー プライム」をはじめ、「昔の白髪染めとは、まったく違う」と言っていいほど進化しています。明るさも透明感も、いわゆるファッションカラーに引けを取らないくらいグッと上がっているんですよ。
またサロンワークを通して感じるのは、世の中のグレイカラーに対するニーズが変化していること。一世代前は「白髪を隠したい」「しっかり染めたい」という女性が多かったのに対し、現代の大人女性はファッションカラーの延長として「きれいに染めたい」という方がほとんどです。そうしたニーズの移り変わりに合わせて、薬剤も僕たち美容師の技術も飛躍的に進化してきています。
だから、今の時代にグレイカラーを始めるのはラッキーなんです。でも、実際に白髪の悩みが自分ごとになる年齢までに、以前の薬剤や技術のイメージで「一度グレイカラーをしたら、もう明るい髪色には戻れない」といったネガティブな印象を持ってしまう方が多いのも現実です。
伊熊:ある調査では、35歳以上の2人に1人は白髪を少なくとも1本“所有している”そうなんです。でも、実際にグレイカラーを使い始めるのは7年後、42歳ぐらいが多い。だから、グレイカラーを始めるまでの7年間、身近にいる母親の様子を見て「あんなに真っ黒になってしまうんだ……」と、皆さん悩み続けているんですよ。でも、実際に染めてみると「え!? 今までやってきたカラーと何も変わらない!」と、その進化に驚く方がほとんどだと思います。
―― 私は今年42歳になるので、まさにファーストグレイ世代になりますね。
朝日:たぶん今のグレイカラーで染めてみたら「もっと早くやっておけばよかった」と思いますよ。うちのお客様の大半がそうでしたから。「もっと暗くなるか、変な色になるんじゃないかと心配していたけれど、明るさも保っているし、これなら早くグレイカラーにしておけばよかった」って。
―― そうなんですね! でも美容師さんから「今日からグレイカラーを使ってみましょう」と言われるのは、ある意味「宣告」にも感じるような気がします……。
伊熊:たしかに、一方で美容師さんに「まだ、グレイカラーは先で大丈夫だね!」と言われると、逆にいつか来るその日が怖くなる部分はありますよね(笑)。
朝日:なるほど。美容師側からすると、まだ白髪が少ないのにグレイカラーを提案するとショックを受けてしまうかもしれないので、安心させようと思って言っているんですけどね(笑)。
―― 朝日さんは、お客様にどのくらい白髪のボリュームがあるとグレイカラーを提案していますか?
朝日:量というよりも、セットしたときに飛び出てきたり、キラっと見えたりしたときかな。
お客様自身が白髪を気にしていそうだと感じる場合は、「気になってテンションが下がってしまうならグレイカラーを試しちゃえば?」って伝えてみます。でもお客様によって感じ方はさまざまなので、気は遣いますね。
伊熊:あえて「白髪」というワードを使わない美容師さん、結構いますよ。
朝日:確かに僕も「白いの」って言うことが多いかな。サロンはきれいになるために来るところだから、少しでもネガティブなものは払拭したいという想いがあるんですよね。
伊熊:そう、美容師さんって優しいの。だからこそ反対に、白髪染めに対して気を遣っていることが感じ取れちゃうこともあるんですよ(笑)。
朝日:なるほど。僕らがもっとポジティブに勧められるようになるのも大事ですよね。
「どうして“髪履歴”が大切なの……?」お客様が知りたいのは、提案の“意図”!
―― 伊熊さんはとても髪がきれいですが、普段はどのようなケアをされているのですか?
伊熊:髪はもちろんですが、頭皮ケアにも注力しています。土台となる頭皮をケアすることで、そこから生えてくる髪そのものの状態を良くするようにという考えですね。ケアの方法については、シャンプーやブラッシングの仕方など、何でも美容師さんに質問します。
朝日:それはいいですね。僕も自分のお客様にはずっときれいでいてほしいので、デイリーケアについてよくお話しします。実は、意外と毎日のケアで髪にとって間違ったことをしていることもあるので、当たり前におこなっているデイリーケアを見直すことは大切だと思いますね。
伊熊:朝日さんにお聞きしたいのですが、美容師さんと話していると、「いつ染めましたか?」など“髪履歴”をよく気にされますよね。髪色を暗くしてから明るくしたいと言うと、難しい反応が返ってくることが多いのですが、なぜなのでしょう?
朝日:一度暗くした髪色を明るく戻すのは技術的にかなり大変ですし、髪も傷みやすいので、できる限り避けたいからですね。特に長く付き合っているお客様の髪履歴は、髪の健康のためにも、複雑でヘビーなものにしたくないんですよ。
伊熊:そうなんですね! 私たちはそういうことを知らないので、ただ「暗くするのは、やめておいたほうがいいよ」と言われるよりも、難しい理由をしっかり教えてもらえたほうが、うれしいですよね。
朝日:僕もこれまでに、黒染めを繰り返しているお客様に「明るくしたい」と言われて、4~5回続けて断ったことがあります。明るくすること自体は不可能ではなかったのですが、そのお客様の髪履歴と状態を考えると、もう少し時間をかけて退色を待ってから明るくしたほうが良いと判断したんです。僕たち美容師は常に髪履歴や状態を見極めて、長期的ビジョンで考えて提案しているのですが、それが毎回きちんとお客様に伝わるように説明できているかというと……できていないこともあるのかもしれないですね。
伊熊:長期ビジョンを示してもらうことは、お客様側からしても大事ですよね。美容師さんって優しいから、お客様の笑顔が見たくて無理なオーダーにも応えたいって思ってくれる方もいるかもしれません。だけど、“今日のきれい”だけではなく、“1週間後もその先もきれいでいられること”も、女性にとっては重要なんですよね。
以前ある50代向けの女性誌で「白髪管理スケジュール」という記事を担当したことがあるんですよ。その評判がかなり良くて。髪のきれいな人に、どれくらいのスパンでカラーをしていて、その間はどんなケアをおこなっているのかなど詳しく聞き、3カ月ぐらいのタイムスケジュールにしたものなのですが、書いているうちに「髪がきれいな人は担当美容師さんが優秀なのだ」と気づきました。まだ、一般では「髪履歴」という言葉を知らない人が多いですが、美容師さん側からもっと発信していけば、私たちもカラーや髪への理解が深まって、もっときれいな髪になれると思います。
コロナ禍で変化したグレイカラー事情! 多様化するニーズへの対応方法とは
―― ステイホームが続く中、今までのようにサロンでグレイカラーをできなくなった人が増えたと思います。その影響で、大人女性のお悩みや、グレイカラーの提案の仕方で変わってきたことはありますか?
朝日:そうですね。今まではお客様に対して「自分では染めないでね」と伝えていましたが、根元の気になる部分をちょっと隠すくらいのことはできたほうが良いのかもと思うようになりました。
伊熊:「自分で染めて失敗したら嫌だし、美容師さんに怒られちゃう……」という人もいますよね。髪って、肌と違って長く失敗が残ってしまいますから。
朝日:そうなんですよ。もちろんプロにやってもらうほうが良いけれど、それが難しいときに、失敗の少ないセルフグレイカラーのアイテムをこちらから提案できたら良いなとは思っていたんですよね。だから、「カラーストーリー プライム」のホームケアアイテムのように、オススメできる商品が出てきたのはありがたいです。
伊熊:リタッチだけでも自分でできる選択肢があると、うれしい人は多いと思います。
―― そういったホームケアアイテムも充実している「カラーストーリー プライム」ですが、朝日さんから見てほかに良いところはありますか?
朝日:圧倒的に“色”ですね。今までのグレイカラーは赤みが強いものが多かったのですが、「カラーストーリー プライム」はほとんどファッションカラーと変わらない色展開で、寒色もしっかり表現できる「ハイブリッドタイプ」というラインがあります。おかげで提案の幅が広がり、グレイカラーのネガティブイメージを打破しやすくなりました。
伊熊:私も先日撮影で拝見したのですが、本当に赤みや茶色みが少なくて驚きました。「カラーストーリー プライム」でつくるアッシュは、ちゃんと寒色の色みを感じて、透明感や艶もあるんです。
朝日:僕自身の感覚としては、もうグレイカラーもファッションカラーも区別なく、全部「カラー」でいいと思っているんです。それがこのシリーズなら実現できそうだと感じています。
―― 私たちも「今日から白髪染めを使います」と言われるよりも、むしろファッションカラーと同じように当たり前に使ってくれたほうが、うれしいです。
朝日:「カラーストーリー プライム」で白髪染めのイメージが変われば、長く楽しくお客様と付き合っていける。まさに「#Playgray」ですね。
伊熊:私は「#Playgray」というワードは“髪の多様性”を示してくれていると思うんです。白髪があっても、その白髪を排除するのではなく、楽しみながら共存させてくれる。そして長期的に髪を美しくしてくれる。そういったグレイカラーは今までなかったので、女性にとって大きな希望です。
朝日:年齢を重ねると白髪だけでなく、頭皮も髪質も変わっていくもの。薬剤の進化によって、低刺激でイメージに近いカラーにできるのは、美容師にもお客様にとってもありがたいですね。
伊熊:私たちも知識を増やして、美容師さんと共に、持続可能で美しい髪を目指していきたいです。
朝日光輝Mitsuteru Asahi
SUNVALLEY 代表
抜群の感性、高い技術力、そしてどのような状況でも最善の結果を出す仕事は、一流モデルをはじめ、クリエイティブスタッフ、クライアントから厚い信頼を集めている。トップヘアメイクアーティストとして数々の女性誌などで最先端のトレンドを発信しながら、サロンワークでは多くの女性へダイレクトに「リアルトレンド」を精力的に伝えている。
Instagram:@mitsuteru_asahi
伊熊奈美Nami Ikuma
毛髪診断士・美容エディター
編集者として「女性のリアルな生活に寄り添うこと」を基準に、『Oggi』『美的GRAND』(いずれも小学館)をはじめとする女性誌にて、美容記事を幅広く企画・取材。特にヘアケアと毛髪化学分野に精通し、女性誌、新聞、Web等にて20年以上執筆中。美容関連企業のコンサルティングや講演活動などもおこなう。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号! いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)がある。
Instagram:@namiikuma_hairista
(文/橘川麻実、編集/A PRESS編集部)
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