「アジアンカラー フェス」は、個々に合った色づくりと退色のきれいさで、お客様に長くオシャレを楽しんでいただける――CIARTOR
北陸でダブルカラーの代名詞的存在として知られている石川県金沢市のサロン「CIARTOR(シアター)」では、「アジアンカラー フェス」(医薬部外品)を2019年の発売当初から導入。徐々に導入色を拡大していき、現在ではアルカリタイプの「LIFT」、「CONTROL SERIES」、微アルカリタイプの「LOW LIFT」の全色をそろえています。「アジアンカラー フェス」導入の経緯と取り組み、そして導入後の変化やメリットなどを、代表の彦坂正浩(ひこさか まさひろ)さんとクリエイティブディレクターの上原理沙(うえはら りさ)さんに伺いました。
導入の背景 | ●ハイトーンカラーの人気を受け、より透明感と繊細な色みの表現ができるカラー剤を探していた |
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選んだ理由 | ●9レベル前後で理想の色をつくりやすい発色 ●LIFTとLOW LIFTがそろっており、塗り分けができる |
導入による変化 | ●「前回の色が良かった」という満足の声が増加 ●退色のきれいさが喜ばれている |
導入前の課題:今までより、透明感のあるハイトーンカラーの繊細な色みを表現したかった
―― どのような経緯で「アジアンカラー フェス」を導入することになったのでしょうか?
彦坂さん(以下敬称略):ここ数年、ハイトーンカラーの人気が高まり、定番となりつつある中で、お客様がより明度が高く繊細な色みを表現したカラーを求めるようになってきました。そうしたニーズに対応していく上で、より透明感ある繊細なハイトーンを生み出せないかと試行錯誤していました。
特に2019年ごろの僕は、お客様からの需要が高いオリーブ系の色みの表現に悩みを抱えていました。黄みが強かったり、深すぎるグリーンで苔っぽくなってしまったりすることが多くて。だから、柔らかさの中にも透明感があり、グレーがかったトレンド感のあるオリーブを表現できるカラー剤が欲しかったんです。
そうした折に、ちょうど「アジアンカラー フェス」が発売されました。リニューアル前の「アジアンカラー デザインエキスパート」を以前勤めていた東京のサロンで使っていてなじみがあったこともあり、まずはMATを検証してみることに。すると青みのある絶妙なオリーブ感だったんです。その色の深さが「今の時代に合っているな」と腑に落ち、すぐに導入を決めました。
MATを入れると、色を組み合わせて繊細な色みの表現の幅を広げるために、今度はASHやNATURALが必要だなと、追加で導入。そのまま自然と導入色が広がっていきました。
―― 色づくりにものすごくこだわりを持っていらっしゃる印象があります。
彦坂:そうですね。当店が目指しているのは“個性的だけどナチュラル”なスタイル。この「個性的」とは、「人と違う」ということではなく、「一人ひとりに合わせてスタイルを変えていく」ということ。そこで特に大切にしているのが色づくりなんです。
「アジアンカラー フェス」を選んだ理由:9レベル前後の仕上がりで思った通りの発色。色みのコントロールのしやすさが決め手に
―― 実際に「アジアンカラー フェス」を使ってみて、どのように感じましたか?
彦坂:「アジアンカラー フェス」は「高明度・強発色」の設計で、想像した色がきれいに発色するので、カラー剤を組み合わせて色をつくるときも、色みのコントロールがしやすい。特に、9レベル前後できれいに発色して理想の色をつくりやすいことが魅力に感じました。
日常生活に溶け込むカラーとして需要が高いのは9レベル前後。このレベルは特にベースに左右されやすいので、同じ仕上がりを目指したとしても、お客様の髪質によって組み合わせるカラー剤を工夫する必要があるんです。
上原さん(以下敬称略):「アジアンカラー フェス」は、ブリーチなしでも発色がきれいで絶妙に透明感のある色や、明るい中にも深みが効いている色などを表現しやすいと、使っていて感じています。私は25歳前後の若いお客様が多く、高発色・高彩度のカラーの人気が高いためCLEAR PINKやCLEAR ASHなどのペールトーンの色調もよく使っていますね。
上原:また、ORANGEもよく使っています。もともと私はオレンジ推しなのですが、「アジアンカラー フェス」のORANGEは少し赤みがあって、私のつくりたいオレンジが表現しやすいんです。最初、ORANGEは導入していなかったのですが、サンプルを使って惚れ込んでしまい、彦坂さんに猛プッシュしました。入れることが決まったときには「よっしゃー!」って思いましたね(笑)。
―― 微アルカリタイプのLOW LIFTも導入いただいています。なぜLIFTと合わせてLOW LIFTも導入されたのでしょうか?
彦坂:当店ではもともと、根元はアルカリタイプ、毛先は微アルカリタイプを使うように推奨しています。そのためどのカラー剤であっても、微アルカリタイプがあるものを導入しているんです。
お客様と長く付き合っていくためには、ダメージに配慮してきれいな髪を保つって大切ですよね。その際、トリートメントなどのケアももちろん大切ですが、僕らはそれ以前の「カラーでのダメージを極力抑える」という“スタートからのケア”をしていきたい。そのためには微アルカリタイプをうまく使いこなしていく必要があるんです。
導入時の工夫:客層を意識したスタイルの提案方法で、仕上がりのイメージをお客様と共有
―― 導入の際、スタッフへの情報共有はどのように進めましたか?
彦坂:カラー剤の良いところよりも、他のカラー剤との違いや扱う上での注意事項を積極的に共有しました。例えば「アジアンカラー フェス」は1剤の粘度が高めなので、塗布前にしっかりお客様の髪質やダメージ状態を見極めて、コーミングを調整しましょう、といった具合です。経験の浅いアシスタントだと、どの薬剤も同じ感覚で塗ってしまうこともありますが、それぞれの薬剤に適した塗布量や塗布の仕方があるので、先に特徴を伝えておく。適した方法で試せば、良いところはこちらから言わなくても、スタッフ一人ひとりが実際の施術の中でしっかり見つけてくれます。
また、LOW LIFTについてはどんな方をターゲットにしてつくったのかを、お客様への施術を重ねる中で少しずつ把握していきました。例えば、12レベル前後の髪に対して色をきれいに出していく設計でつくられているのか、または9〜10レベルのベースを想定した設計なのか、そういう違いで色ブレが起こります。まずは明度が高めでダメージが少ない髪質でチェックして、そこから薬剤のクセを見つけ出し、少しずつ難しい髪質にトライする。そういった検証の積み重ねで得た結果を細かくスタッフと共有し、薬剤の特徴を店全体でつかんでいくようにしています。
―― 「アジアンカラー フェス」は、カラー剤を組み合わせて彩度調整をする「純色設計」ですが、自らカラー剤を組み合わせる色づくりの意識はどのようにスタッフへ共有されましたか?
彦坂:サロン創業以来、カラー剤を組み合わせて自ら色をつくることを、カラーの中心に据えてきました。だから、「アジアンカラー フェス」の導入にあたって特別にスタッフと擦り合わせる必要はなかったですね。
僕たちは、一人ひとりに合わせた理想の色を毎回ピンポイントで狙って色づくりをしています。ワンタッチで染まるカラー剤のほうが、大きな失敗が少ないので使っているサロンもあると思うんですが、僕たちの考える理想の色を的確に狙って表現していくには、やはり自らの色づくりが重要なんです。
とはいえ、やはりカラー剤を組み合わせて色をつくっていく技術は、すぐに身に付くものではありません。「アジアンカラー フェス」に限った話ではありませんが、とにかく日頃から場数を踏んで感覚を養い、毎回しっかりフィードバックすることが大切です。
―― お客様への提案はどのようにされていますか?
上原:カウンセリング時の提案に、よくカラーチャートを使っています。カラーチャートを使う1番の目的は、明るさの認識をお客様とそろえること。「このトーンはこのくらいの明るさだ」という認識を擦り合わせてから、お客様の細かい要望を探ります。
カラーチャートを使う上で注意したいのが、はじめから色を決めすぎないことです。髪のベースによって仕上がりの色みに多少のブレがあり、チャートと全く同じ色にはならないことはしっかり説明するようにしています。その上で、お客様が想像するよりさらに良い色に仕上げることを目指す。そうしていくと、仕上がりに「想像以上にいい感じ!」と言っていただけることが、よくあるんですよ。
彦坂:逆に僕は、チャートはほとんど使わないですね。世界の街などをテーマにニュアンスを伝えることが多いです。例えば、「朝にコーヒー片手にシャンゼリゼ通りを歩いている感じ」とか。それが朝なのか夕方なのかによっても、青みのある空なのか、オレンジがかった陽の光なのかなど印象が変わるので、そういった色の表現を街や時間でたとえます。
―― ヘアカラーによってまとう空気感や日常のニュアンスを伝えていくと。
彦坂:そうですね。上原との客層の違いも関係していると思います。上原は明るいカラーを希望される若いお客様が多いですが、僕はメインの客層が40歳前後の方が多く、色よりもカットの形がメインになってくる。その形をうまく引き立ててくれる色づくりが重要なので、お客様自身の生活の中でカラーがどのような意味合いを持つのか、という想像を掻き立てやすい提案方法に自然となっていきました。
導入の成果:繊細な色みの表現でお客様の理想をさらに追求できるように
―― 「アジアンカラー フェス」によって、特につくりやすくなったカラーはありますか?
上原:私は欲張りというか、とにかくいろんな色を詰め込みたいタイプなんです(笑)。中でも8 ORANGEが特にお気に入りで、よくconc.ROSEと組み合わせて使います。8~9レベルのベースに使うと、ほんのり赤みのあるアプリコットオレンジをきれいに表現できるんですよ。
あとはMATにconc.BLUEを組み合わせた、少しグレーみのあるオリーブも好きですね。
彦坂:僕が使うのはM8(LOW LIFTのMATの8レベル)。これに関しては単品で使うことも多いです。例えば、ベースが9レベルくらいで新生部が充分に明るくなるお客様にM8を根元から毛先まで塗布すると、根元の明るさが5.5~6レベルくらいになり、毛先に向けていい感じのグラデーションでつながっていきます。
―― お客様の反応はいかがですか?
彦坂:「前回の色が良かった」「前回と同じカラーで」という声は頻繁にいただきますね。そういった声には、「この色が気に入った」というニュアンスが含まれていると感じています。
上原:サロンでの仕上がりだけでなく、その後の色の抜け方がきれいなのも喜ばれます。カラーして1カ月後に再来店してくれたお客様のベースを見ると、黄みやオレンジみが出ることもなく、退色後の色もすごくきれいで。「染め直すのがもったいないね」とお客様と話すことがあるくらいです。
上原:ここ数年はブリーチカラーや、ブリーチなしでも明るいカラーを希望されるお客様が増えてきました。ありがたいことに、最近では私の髪色を見てブリーチしたいと言ってくれるお客様もいらっしゃいます。そういったハイトーンカラーのお客様が増えているタイミングに、「アジアンカラー フェス」を使うことで表現できるクリア感や発色、色みの幅が広がったのは、とても心強いですね。
今後の展望:年齢は関係ない! お客様がもっと自由に好きなスタイルに挑戦できる手助けをしたい
―― 最後に、「アジアンカラー フェス」を使って推していきたいスタイルや、今後の展望について教えていただきたいです。
上原:最近は根元から毛先まで一色のシンプルなデザインをよく提案しています。白っぽく色が抜けていくカラーを目指して、染めたてだけでなく退色してもかわいい、お客様が長く楽しんで満足いただけるカラーをつくっていけたらな、と思っています。
彦坂:30代や40代のお客様の中には、「若い子の間で流行っているスタイルが気になってはいるものの、なかなかトライできない」というもどかしさを抱えている方も多いくいらっしゃいます。20代のインスタグラマーの写真を見せて「これにしてください」と伝えるのは、お客様にとってかなりハードルが高いと思うんですよね。でも、そういったお客様にも僕たちから背中を押すように積極的に提案していけば、気持ちが動いて一歩踏み出せることも、もちろんあり得ます。
「こういう明るくて鮮やかな色は、何歳まで」と年齢で区切ってしまいたくない。そうではなく、お客様それぞれの言葉にしづらいご希望や似合うスタイルを見抜いて、「ずっとやってみたかったけれど、なかなか一歩踏み出せなかった」というカットやカラーにトライしていけるような「道」をつくっていきたいと思っています。
彦坂正浩Masahiro Hikosaka
CIARTOR 代表
石川県出身。東京マックス美容専門学校卒業後、都内2店舗を経て、2012年10月にCIARTORを金沢市にオープン。「ドライだけでキマルヘア」をコンセプトに、お客様一人ひとりに合ったデザインやヘアケアを提案する。サロンワークの他、北陸を中心に美容師の技術向上を目的としたセミナーに力を入れている。また、美容以外のイベントやSHOPのアドバイザーとしても活躍している。
Instagram:@ciartor_hikosaka
上原理沙Risa Uehara
CIARTOR クリエイティブディレクター
富山県出身。富山県理容美容専門学校卒業後、2018年にCIARTOR入社。2022年よりクリエイティブディレクターに。お客様の個性を引き出す「シンプルなヘア」「個性のあるヘア」を常に追求し、提案している。特に骨格に合わせた切りっぱなしのボブと、光の当たり具合で見え方が変わる、透けるハイトーンカラーに定評がある。
Instagram:@lisa_uehara
アリミノ営業担当者のコメント
CIARTORさんはオープン以来、都内有名サロンでの勤務で得た経験を生かしたサロンワークやデザイン提案で、カラーデザインを強みの一つとしてブランディングしてきたサロン。お客様もカラー目的で来店される方が多いのが特徴です。継続的なデザイン提案のために、どのカラー剤でも既染毛用の微アルカリカラーを展開するブランドに絞って導入を進めるなど、薬剤選定にこだわっています。さらに幅広いスタッフ層によって顧客層も20〜50代と広く、提案するカラーやデザインもさまざま。今回はそのCIARTORさんの継続的な取り組みとブランディングに、「アジアンカラー フェス」の“純色設計”というコンセプトと多様なラインアップが結びついたことが、導入とその後の活用につながりました。何より自分たちが楽しみながらお客様へカラーを提案しているCIARTORさんのデザインを、カラー剤から支えられていることは、当社としてもうれしい成功です。
(アリミノ首都圏第2営業部 金沢支店 支店長 上西隆士)
「CIARTOR」サロン情報
「CINEMA×ART×CREATOR」をコンセプトに、金沢という地方都市から美容を発信していく、“劇場”のようなサロン。2012年のオープン以来、遊び心を持ったクリエイターとしての仕事を追求している。
店舗展開 | 石川県金沢市に1店舗 |
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従業員数 | 10名(2022年2月現在) |
サロンコンセプト | 何度も見返したくなる映画のワンシーンのような瞬間を、遊び心を持って、妥協せず追求する“劇場”のようなサロン |
サロンターゲット | 美容への関心が高い20〜50代 |
商品導入年月 | 2019年9月 |
商品ターゲット | 全ての年代のカラーを希望するお客様 |
(文/鈴木美奈子、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/堂道慶一郎)