リピート率は90%! Luu 岩滿高成さんに聞く、「タイパ」時代の今、30分から1時間かけてカウンセリングをする理由とは
丁寧なカウンセリングと高い技術力で大人女性から支持を集めている提案型サロン「Luu(ルー)」。通常、新規顧客のリピート率は25%程度と言われていますが、「Luu」の新規顧客のリピート率は70%。既存のお客様を合わせるとリピート率は90%になるのだとか。
忙しい現代では、「タイパ(タイムパフォーマンス)」を重視する人が増えていますが、Luuでは新規のお客様は30分から1時間のカウンセリングを行い、お客様の本質的な要望を引き出します。なぜ、「Luu」はカウンセリングに多くの時間を費やすのでしょうか。そして、なぜ、多くのお客様からそれが支持されているのでしょうか。今回は、その秘密を代表の岩滿高成(いわみつ こうせい)さんに伺いました。
丁寧なカウンセリングを通してお客様と信頼関係が築けた
―― カウンセリングに力を入れていらっしゃると伺いました。
岩滿さん(以下敬称略):そうですね。スタッフにもよりますが、新規のお客様の場合は平均30分〜1時間、既存のお客様にも15〜30分ほどかけています。
今の時代、「ダブルカラーに特化しています」や「カットが得意です」といった専門性を推しているサロンが多い中で、当サロンでは全施術を高いレベルで提供することを重視しています。その高いレベルのサービスを提供する上での根幹となるのが、カウンセリングだと考え、力を入れています。
―― 集客や売上など、どのような成果があったのでしょうか?
岩滿:リピート率はもちろん、顧客単価もアップしました。お客様に合わせてさまざまなスタイルを提案するので、その分メニューも幅広く用意しているのですが、多くのお客様から好評を得ています。
―― カウンセリングを受けたお客様からはどのような声が上がりますか?
岩滿:丁寧に話を聞いてもらうこと自体が珍しいようで、すべての口コミに「丁寧にカウンセリングしていただいた」という声が入っています。また、ノープランで来店されるお客様が大半なのですが、「今日はどんな提案をしてくれるんだろう」と楽しみに来てくださる方が多いんです。しっかりとカウンセリングをした上でのスタイルの提案が、信頼されているからだと感じますね。
多忙なサロンや低価格帯のサロン を経て「Luu」をオープン。期待以上のサービス提供のためにカウンセリングに注力
―― カウンセリングに力を入れようと思ったきっかけについて教えてください。
岩滿:これまでのサロンでの経験から、毎回スタイルを変えるような提案ができる高いレベルのサービスを提供したいと思い、その一つの手段として、カウンセリングに力を入れるようになりました。
以前はとにかく忙しいサロンで働いていて、流れ作業のようにいつもと同じオーダーに対応しているような状態でした。そのあと別のサロンでは、お客様の求めていることを見極められず、短期間でかなりのクレームが来てしまったことがありました。お客様の要望に対して、いろいろ提案をしすぎてしまったことが理由でした。
そこは低価格帯のサロンで、来店するお客様は新しい提案よりも時間を優先するお客様が多かったんですよね。だから、お客様も「どうして言う通りにやってくれないの?」という反応になってしまったんです。相手の目的にマッチしていないと「良いサービス」も「悪いサービス」になってしまうことを学びました。
毎回、違う自分に出会ってもらえるように。細部までこだわったカウンセリングシートを元にお客様の本音を見極め、3パターンのスタイルをご提案
―― カウンセリングはどのような流れで行われるのでしょうか?
岩滿:カウンセリングシートにご記入いただき、来店理由や来店の経緯をお伺いします。そのあと、シートを見ながら、どのようなスタイルや雰囲気になりたいのか、どんなテイストが好みなのかを一つひとつ深掘って伺っていきます。
―― カウンセリングシートには、どのような質問項目があるのでしょうか?
岩滿:「お客様の要望を書く欄」、「好みのジャンル」「髪の悩み」「普段使っているスタイリング剤やホームケアアイテム」「スタイリング方法」などです。
シートには、複数の選択肢を用意して、その中から選んでもらうようにしています。例えば、好みのジャンルであれば「フェミニン」とか「クール」といった感じです。自由回答の方式だと、お客様が大変なのでそうしています。このカウンセリングシートがお客様の要望を引き出すベースになるので、制作に半年かけて質問項目にこだわりました。
―― カウンセリングでは、どのようなことに気をつけていますか?
岩滿:お客様の言葉をそのまま受け取るのではなく、しっかりと深掘りして本質はどこになるか考えることです。よくカウンセリングの時に美容師さんは「長さはこれくらいですか」「レイヤーは入れますか」「カラーは何色がいいですか」とたくさん聞いてしまうことがありますよね。でも、実際には90%くらいのお客様が「どうすればいいか分からないから、教えてほしい」というスタンスなんです。
そのため、美容師側が突っ込んで質問を続けると、お客様はなんとなく答えたり、質問と回答がずれてきてしまったりすることが多いのが現状です。なので、お客様の言葉の背後にある本当の理由や願望を見極めることが重要です。カウンセリングで本当の要望が見えてきたあとで、お客様に刺さるスタイル提案を具体的に提示して反応を見るのが良いと思います。当サロンでは、3パターンのスタイルを 提案しています。
―― 毎回のカウンセリングで3パターン提案するのでしょうか?
岩滿:はい。新規のお客様でも既存の方でも3パターンご提案しています。その3パターンの提案の根拠を示すことも大切だと思っているので、骨格や輪郭を見させていただいて、それを元に理由を添えた上で提案しています。
―― 3パターンのスタイルにはどのような違いがあるのでしょうか?
岩滿:ケースバイケースですが、「髪をバッサリ切りたい」と決意しているお客様の場合は、カットを前提としたメニューを3つ出します。切るかどうか迷っている方なら、1パターン目は長さは変えずにパーマ、2パターン目はイメージが変わる程度にカット+パーマ、3パターン目はばっさりショート+トリートメント…など、違いを出しています。
どのスタイルにするか悩んでいたら、カウンセリングで深掘りしたお客様の願望の本質をベースに3パターン提案し、悩んだら、カウンセリング前におっしゃっていた理由を起点に相談して選んでいただきます。
スタッフ全員参加のレッスンで、提案力と実現力を身につける
―― スタッフには、カウンセリングの技術を含め、どのような教育をしているのでしょうか?
岩滿:先ほど、お客様に3パターンの提案をする話がありましたが、提案するにはその施術ができる必要がありますよね。提案力も必要ですし 、提案の幅を広げることも重要です。そのためには、技術や知識、お悩みに対処するための応用力、パーソナルカラー診断、骨格診断など、すべてに対応できないといけないということはいつも伝えています。
また、実際にお客様に3パターンを提案する練習として、サロンの定休日に、モデルさんに合わせて洋服を3パターン持ってきてもらって、写真を撮るというレッスンをスタッフ全員参加で行っています。
岩滿:持ってきてくれた洋服とモデルさんの持つ雰囲気にズレがあった場合、「そのズレをどう埋めるか」ということを、スタイルを作る前に説明してもらいます。髪の毛だけでなく、メイクも含めてです。「似合わせ」の理論を用いて、つじつまが合わないところを埋めていくという作業ですね。
―― 「ズレをどう埋めるか」を言語化するのは、大変そうです……。
岩滿:はい。最初はみんなそこに苦しんで、事情聴取みたいになっていますね(笑)。
大変ですが、きちんとこのレッスンに取り組むことで、いろいろなご提案ができるようになっていきますし、この言語化の練習が実際のサロンワークに活きてくるんです。
低ダメージな薬剤を使うことで、スタイルチェンジを堂々と提案できる
―― さまざまなヘアスタイルを提案する上で、重要視している点や、特に使用しているアイテムについて教えてください。
岩滿:毎回、違うスタイルを提案しているので、低ダメージであることは重要です。トリートメントで補修するのではなく、その前にダメージをさせないという施術にすごく力を入れているので、薬剤にはこだわっています。
その点で、アリミノさんのカラー剤では、「アジアンカラー フェス」「カラーストーリー プライム」(いずれも医薬部外品)を使うことが多いです。
―― 「アジアンカラー フェス」と「カラーストーリー プライム」は、どのような点が使いやすいのでしょうか?
岩滿:「アジアンカラー フェス」は、既染部用の微アルカリタイプの「LOW LIFT」も用意されているので 、髪のダメージを抑えたい時に使い分けができて良いですね。「カラーストーリー プライム」はグレイカラーをする際に重宝しているのですが、頭皮への刺激が少なくて使いやすいです。
また、既存顧客の30%から40%くらいのお客様にパーマ施術をしているのですが、主軸として「クオライン」を使っています。パーマメニューを提案すると「髪が傷みそう」とお客様から言われることが多いのですが、「クオライン」もダメージに配慮しているパーマ剤なので、お客様にスタイルチェンジを堂々と提案できるありがたいアイテムですね。
さらに感動を生み出す、高いレベルの「美」の提供を
―― サロンの内観などにもさまざまなこだわりを感じます。
岩滿:そうですね。今回は、カウンセリングを重視しているというお話をしましたが、僕たちが大切にしているのは、時間をつくってサロンにいらしてくださったお客様に、「絶対に感動していただく」ということ。そのため、お客様にお出しするコーヒーや紅茶、チョコレート、トイレのハンドソープ、ディフューザー まで、とにかくいろいろとこだわっています。
カウンセリングもお客様に感動してもらうためのツールの一つに過ぎません。そこに施術や薬剤、提案などがすべてきちんと紐づいているからこそ、お客様に感動していただけるのだと思っています。
―― それでは最後に、今後の展望について教えてください。
岩滿:今の店舗では、変わらずお客様に「リピートしたい」と思っていただけるよう、丁寧なカウンセリングを続けていきたいと思っています。また、もうすぐ2店舗目を出店するのですが、トータルビューティーサロンとして運営する予定で、お客様一人ひとりにより高いレベルのサービスを提供 していきたいです。
本来、メイクや眉毛、ネイル、エステ、着付け、ヘアセット、パーソナルカラー診断、骨格診断などはそれぞれ専門のお店で施術を受けることが多いと思いますが、これらすべてのメニューを組み合わせてトータルで似合うスタイルのご提案をし、さらにお客様へ感動をお届けしたいと考えています。
岩滿高成Kousei Iwamitsu
株式会社Luu Style 代表
宮崎県出身。ハリウッドワールド美容専門学校卒業後、3つの会社と派遣美容師で計30店舗での経験を経て、2022年「Hair Luu」をオープン。ショートボブヘアやパーマスタイルが得意。丁寧なカウンセリングで、一人ひとりの魅力をさらに引き出すスタイルを提案し、お客様から厚い信頼を集めている。クールからフェミニンまで、幅広いスタイルをつくり出す。
Instagram:@luu_hair_kousei.iwamitsu
アリミノ営業担当者のコメント
Luu様の魅力は、時間をつくってサロンへ来店されるお客様に“絶対に感動していただく”という理念を、スタッフ全員へ共有し実践されている点です。お店の扉を開けた瞬間から、上品な香りが漂い、丁寧なカウンセリングと提案、ダメージレスな薬剤選定、お客様にお出しするコーヒーやチョコレートにまでこだわりが詰まった、ホスピタリティ溢れるサロン様です。これからもLuu様とともに、お客様の心を動かす美の提供をしていけるよう、アリミノ商材や提案を通してサポートさせていただきます。
名阪営業部 大阪第1支店 松原徹
「Luu」サロン情報
ファッションのようにヘアスタイルも気軽に変えることを推奨している提案型サロン。「脱マンネリ&エイジングケア」をコンセプトにお客様に生涯を通じて通っていただけるような上質なサロンを目指す。短時間のカウンセリングでは把握しきれないライフスタイルや髪質をしっかりと知るために、30分~1時間ほどかけてヒアリングをし、ヒアリング内容を元にスタイルを提案する。お客様一人ひとりが持つ魅力をさらに引き出す丁寧なカウンセリングと豊富なヘアスタイルの提案で神戸の大人女性から支持を得ている。
店舗展開 | 1店舗 |
---|---|
従業員数 | 7名 |
サロンコンセプト | 「脱マンネリ&エイジングケア」 |
サロンターゲット | 30代〜40代の大人女性 |
「Luu」 店舗情報
所在地:
〒658-0051
兵庫県神戸市東灘区住吉本町1丁目5-4
エヌシーパレス1F
Webサイト:https://luu-hairsalon.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/luu_hair_official/
(取材・執筆/池山章子、編集/A PRESS編集部、撮影/スタジオフィルムズ 小藪・佐藤)