20年の研究でたどり着いたのは「クオライン」と「アルミホイル」?! 電髪倶楽部・瀬山英介さんに聞く、ツイストパーマのトレンド傾向とポイント

May 24.2022
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パーマスタイルの中でもメンズからの人気が高い「ツイストパーマ」。近年、2000年代カルチャーが再ブームになってきたことから注目度が上がってきていると、埼玉県熊谷市のサロン「電髪倶楽部(デンパツクラブ)」代表取締役 副社長の瀬山英介(せやま えいすけ)さんは言います。

ツイストパーマの魅力は、ニュアンスでイメージチェンジができることと、毎朝のスタイリングが楽になる再現性の高さ。瀬山さんは「この再現性を引き出すためにダメージへの配慮が欠かせず、薬剤選定が鍵になる」と話します。現在は「クオライン」を重宝しているそう。さらに、電髪倶楽部独自の方法として編み出したのが「アルミホイル」の活用。なぜ、コットンではなくアルミホイルを使用するのでしょうか?

ツイストパーマのこれまでとこれからのトレンド傾向、電髪倶楽部がつくるツイストパーマの特徴と薬剤選定のポイントを、20年以上ツイストパーマを研究してきた瀬山さんに伺いました。

CONTENTS

    2000年代カルチャーブームでツイストパーマ人気が再燃! ニュアンス変化と再現性の高さが魅力

    ―― 電髪倶楽部さんでは、約20年前からツイストパーマに力を入れていらっしゃいますよね。

    瀬山さん(以下敬称略)はい。90年代後半〜2000年代のダンサーブームで、ツイストパーマが一気にトレンドになったのがきっかけで、注力するようになりました。

    それ以前はメンズのパーマといえば年配のお客様がかけるパンチパーマくらいで、当時は「ツイストパーマは原宿の一部の美容師にしかできない」と言われていたんです。そこで「東京に行かなくても、うちのサロンでもできるようにしよう」と思い、研究を開始しました。さまざまな試行錯誤を重ねた結果、安定したクオリティと人気を誇るメニューになりました。

    当時のツイストパーマはちょっと長めでチリチリッとしたスタイル。ダンサーだけでなく、サッカーのJリーグでも多くの選手が同様のスタイルにしていましたね。

    ―― そこから、トレンドはどのように変化していったのでしょうか?

    瀬山その後もパーマ人気はしばらく続き、ツイストパーマに続いてドレッドヘアが流行しました。でも、2015年ごろからはカラーが人気に。ハイトーンカラー志向が高まるほど、ダメージを考慮するとパーマを組み合わせるのが難しくなり、パーマ人気は下火になっていきました。その後しばらくカラー人気が続いていましたが、2020年代に入り、再びメンズのツイストパーマが注目されはじめ、現在に至ります。

    ―― なぜ近年、再び注目されてきたのでしょうか?

    瀬山若者を中心に、2000年代のカルチャーに再ブームが起きていることで、SNSにツイストパーマのスタイルを投稿する人が増えている影響だと思います。当店にも「SNSでツイストパーマにしている人を見て、自分もやってみたくなった」というお客様がたくさん来店されているんですよ。

    ―― パーマスタイルの中でも特にツイストパーマが支持されるのは、なぜでしょうか?

    瀬山最大の理由は、簡単にイメージチェンジできるという点です。また、ロッドで巻く必要がないので、長さが2cm程度の短髪でもかけられるという点も、チャレンジしやすいポイントだと思います。

    一口に「ツイストパーマ」と言っても、毛束を取る幅や回転数、カットとパーマのどちらを先にするかなどにより仕上がりがまったく異なり、大きくイメージチェンジすることも、ニュアンスをわずかに変化させることもできます。特に人気なのは、トレンドのマッシュスタイルとの組み合わせです。マッシュに飽きてきたら、全体の形はそのままにツイストパーマでニュアンスを変化させるのもおすすめですね。

    左:ツイストパーマの施術前/右:施術後

    瀬山また、自宅での毎朝のスタイリングが楽になるというのも、一度ツイストパーマをかけたお客様がリピートされる理由の一つです。ただし、その「再現性の高さ」を実現するには、しっかりダメージに配慮した施術が欠かせません。

    コットンではなく「アルミホイル」を活用?! 根元が折れず、細かな調整ができる独自の手法

    ―― ツイストパーマ施術のポイントについてお伺いします。「ダメージへの配慮」と「お客様に合わせた細かな調整」の両立は、どのように実現されているのでしょうか?

    瀬山大きなポイントは「アルミホイルの活用」「薬剤選定」「スタイリング剤まで含めた提案」の3つです。特にコットンではなくアルミホイルを使用しているのは、他のサロンと異なると思います。

    ―― アルミホイルですか……? 珍しいですね。

    瀬山はい。ツイストパーマの施術では、ねじった髪が戻らないように固定します。その際、ピンやコットンで留めるのが主流だと思いますが、そうすると根元が折れてしまい、スタイリング時に髪を上向きに持ち上げようとしても、へたりやすくなってしまうんです。

    そこで当店独自に編み出したのが、アルミホイルの活用です。アルミホイルは強度があるので、頭皮に対してまっすぐ、オンベースで固定できます。しかも簡単に形や向きを変えられるので、根元から毛先までまっすぐ立てる、S字に少し動かす、根元を倒すなど、デザインが自由自在なんですよ。

    ―― なるほど、便利ですね! 使用しているのは、どのようなアルミホイルですか?

    瀬山一般的なものよりも厚みのあるものを使用し、より強度をつけるために折って何枚か重ねるなどの工夫をしています。薄すぎると強度が足りずに倒れてしまいますし、重ねすぎると固くて髪に巻けなくなってしまうので、何度もそのバランスを調整して、今のスタイルにたどり着きました。

    電髪倶楽部流のツイストパーマは、「徹底したダメージへの配慮」と「薬剤の粘性」が鍵!

    ―― お客様に合わせた細かなデザインの調整に、アルミホイルが活きるんですね。一方、ダメージに配慮した施術には薬剤選定がポイントになると思いますが、ツイストパーマで使いやすいのはどのような薬剤でしょうか?

    瀬山ダメージレベルに合わせて選定できる薬剤ラインアップの幅があることと、クリーム状であることがポイントです。このどちらも叶えてくれる薬剤として「クオライン」を重宝しています。

    「クオライン」は、“医薬部外品”と“化粧品”のいずれもラインアップがあり、還元剤の成分も複数種類がそろっています。中でも“化粧品”に分類される「1st クリーム」は、髪への負担が比較的少ない“システアミン”を還元剤のメインにした薬剤です。近年はパーマやカラーを繰り返して髪が傷んでいるお客様が多いので、そのダメージに対してはシステアミン系の薬剤が良いだろうと、「クオライン」を取り入れました。

    また、「1st クリーム」の中でも、「CA-T-C 100」から「CA-T 200」まで強さと特徴の異なる薬剤が用意されていて、選択の幅があります。さらにプレケアの毛髪保護クリーム「アジャスト0」があるのも、ダメージに配慮して活用しやすい「クオライン」の魅力ですね。

    ―― 薬剤の強さを落とすと、髪への負担が少なくなる一方で、思うような動きが出なかったり、すぐに取れてしまったりしないか、パーマのかかり具合が気になります。

    瀬山ツイストパーマに限らず、当店ではまずお客様の髪のダメージレベルに合わせて薬剤を決め、それから巻き方を決めているんですよ。薬剤の強さを抑えた分、巻き方を強くするなど工夫すれば、デザインに合わせて巻き方を先に決める場合と同様の仕上がりをつくり出せます。

    また、同じ毛束の中でも、根元・中間・毛先と、ダメージレベルによって薬剤を使い分け、充分にパーマがかかるようにしています。最も多い組み合わせは、根元〜中間に「CA-C 130」、毛先のダメージしている部分に「CA-T-C 100」を使うケース。カラー毛には基本的に「CA-C 130」以下を使うようにしています。反対に黒髪でダメージの少ない方の場合は「CA-T 200」など、強めの薬剤を使う場合もあります。

    ―― 徹底してダメージへの配慮にこだわっているんですね。

    瀬山前提として、当店は「髪を極力傷めない施術をする」ことをコンセプトにしています。そのため、いち早く頭皮診断や髪質診断を取り入れてきたサロンでもあるんですよ。

    パーマにマイナスイメージを持つお客様は、過去に施術で髪が傷んでしまった経験がある場合が多いです。「パーマは傷むものだから仕方ない」では、いつまでもリピートにつながらないですし、お客様のヘアスタイルの幅も狭めてしまいます。そうではなく、お客様がいつでも自由に新しいスタイルへ挑戦できるように、できる限りダメージに配慮した薬剤選定や技術は必要だと思います。

    ―― クリーム状の薬剤であることは、どのような点で重要なのでしょうか?

    瀬山アルミホイルで包む際、粘性のあるクリーム状の薬剤はねじり具合の戻りが小さく、ホイルの中で垂れることも少ないので使いやすいんですよ。薬剤の塗り分けをする際もこの粘性があるという特徴が活きてきます。

    アルミホイルを使用したツイストパーマ施術の写真はSNSでも注目される

    瀬山またクリーム状のパーマ剤は、液体の薬剤に比べると反応の進み方がゆるやかな点も特徴です。そのため、ねじる場所による時間差で、パーマのかかり具合にムラが出てしまうのも防げます。

    スタイリング剤まで含めた提案で自宅での再現性を担保し、店販もアップ

    ―― 3つ目のポイント「スタイリング剤まで含めた提案」は、どのようなことをおこなっているのでしょうか?

    瀬山お客様が来店時に仕上がりイメージとして見ている写真は、スタイリング剤による仕上げまで完了したもの。だから、施術時にはしっかりスタイリングまでレクチャーします。また、最初のカウンセリングの段階から、仕上がりのスタイルに合わせたスタイリング剤の購入まで含めてご提案しています。

    ―― 施術前からスタイリング剤の購入まで提案をされるんですね……!

    瀬山やはりレクチャーしたのと同じスタイリング剤を使用してもらったほうが、ご自宅での再現性が上がりますからね。ツイストパーマの魅力として毎朝のスタイリングのしやすさを挙げましたが、それは適切なものを使ってちゃんとスタイリングしているからなんですよ。実際、ほとんどのお客様がカウンセリング時に提案したスタイリング剤を購入くださっています。

    左:ツイストパーマ施術後/右:スタイリング後

    ―― カウンセリングの段階から、日頃の扱いまで含めた説明・提案をすることで、店販にもつながるんですね。ツイストパーマには、どのようなスタイリング剤が合いますか?

    瀬山今おすすめしているのは「Dance design tuner(ダンスデザインチューナー)」です。定番はワックスジェルの「ブレイクキープ」。また、少し動きと柔らかさを出したい場合は、トリートメントオイルジェリーの「モダンシマー」を、しっかり固めてマット感も欲しいときはハードワックスの「ロッキンムーブ」を提案しています。

    提案次第でツイストパーマ需要はますます伸びる。サロンの活性化にも重要なメニュー

    ―― ツイストパーマ人気は、今後どのように変化していくと思われますか?

    瀬山現在は若い男性に人気ですが、長さやかけ方次第ではサラリーマンや中高年の方など、どなたにも幅広く似合うスタイルです。そのため、今後もますますツイストパーマの需要は増えていく気配を感じています。

    一方でパーマスタイルを大きく増やすには、ただトレンドに合わせるだけでなく、僕たち美容師からお客様へ提案して仕掛けていく必要があると思っています。例えば当店では、春のイメージチェンジにゆるめのツイストパーマを、夏には髪が濡れたときにしっかりと動きが出るようにちょっと強めのツイストパーマを提案。秋冬は、夏に蓄積したダメージをケアするためにトリートメントに注力するという提案のサイクルをつくっています。

    また、ツイストパーマは、単体だけではなくロッドパーマと組み合わせると、よりお客様のお悩みに応えられる幅が広がります。例えば、毛量が少なくロッドでパーマをかけるとへたりやすいという方には、ロッドでつくるカールの間にツイストパーマのねじりを挟むことで、髪が立ち上がり、ボリュームアップが可能です。仕上がりイメージとメリットを伝えていけば、トレンドのスタイルとしてだけでなく、幅広い年齢層のお客様から支持されるようになるのではないでしょうか。

    ―― 今後も高まりそうなツイストパーマ人気に備えて、サロン内で必要なことはありますか?

    瀬山まずは、ツイストパーマの巻き方や理論を、若い美容師たちに共有していくことが大切だと思います。

    他のパーマに比べると、ツイストパーマは髪をねじるだけでセットできるので、指示さえ的確に出せばアシスタントにも習得できる技術です。若い美容師たちがツイストパーマの技術をしっかり理解して「こんなに簡単にパーマがかけられるんだ」「これでお客様は喜んでくれるんだ」と思ったら、より自分たちから提案したりSNSで押し出したりするでしょう。そうすれば、自ずとツイストパーマを希望するお客様も増えてくるはずです。パーマは客単価が高いメニューなので、需要が増えれば目玉メニューにできますし、サロンの活性化にもつながってくると思います。

    ―― 最後に、今後の展望をお聞かせください。

    瀬山僕は常々、求められたものだけをやるような美容師でいたくないし、スタッフに対してもそうさせたくないと思っています。だから、美容師が積極的に「毎日楽しくなるようなデザイン」を提案していかなければならないと考えているんです。そのためにも、ツイストパーマをはじめとして、イメージチェンジにつながるパーマ技術をどんどんアピールし、よりパーマを楽しむお客様を増やしていきたいですね。

    Profile
    電髪倶楽部 代表取締役 副社長 瀬山英介

    瀬山英介Eisuke Seyama

    電髪倶楽部 代表取締役 副社長

    坂戸理容美容専門学校卒業後、1989年「電髪倶楽部」へ入社。現在は「電髪倶楽部」副社長を務める。“美容師全員がケアリスト”をモットーにお客様の毛髪、頭皮をケアし、素材美にこだわった施術をおこなっている。

    Instagram:@seyama_dp

    「電髪倶楽部」サロン情報

    カットやカラー、パーマという外見的造形美のみならず、髪そのものの“素材美”をプロフェッショナルとしてプロデュース。“髪を通して心をカットすること”を大切に、幅広い年齢層に合った髪のデザイン+ケアの提案。現代のストレスをエナジーに変えられる場所と心の癒しを提供し続けている。

    店舗展開 埼玉県熊谷市内に4店舗
    従業員数 30名
    サロンコンセプト スタイルとケアを両立した施術で、“髪だけでなく心も変化させる”サービスを提供する
    サロンターゲット 中高年層をメインに、20〜60代以上の幅広い年代の男女

    所在地:
    〒360-0015
    埼玉県熊谷市肥塚4-122

    Webサイト:http://denpatsu.jp/zest/

    (文/池山章子、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/小島宏信)

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