目指したのは“新時代のバームフォーム”。fifth堀雄大さんに聞くMarkU新アイテム「バームフォーム」のこだわりと提案のコツ
2026年1月、メンズ向けの“印象スタイリング”ブランド「MarkU(マークユー)」から、新たなアイテムが登場します。今回加わるのは「バームフォーム ハード」と「バームフォーム ミディアム」、2種類のセット力のフォームタイプのスタイリング剤です。
開発を監修したfifth ブランドマネージャーの堀雄大(ほり ゆうだい)さんは、「セット力とツヤ感を兼ね備えたアイテム。フォームの形状で、パーマ初心者でも簡単にスタイリングがキマる」と話します。堀さんに今回の新アイテムの特長や開発の様子、使い方のポイントを伺いました。
フォームの使いやすさはそのまま、トレンドのツヤ感や軽い仕上がりを楽しめる
―― 今回の新アイテムは「バームフォーム」という新しい形式ですね。
堀さん(以下、敬称略):ハードすぎずちょうどいいセット力と、ツヤ感の持続性を両立したスタイリング剤になりました。今回の「バームフォーム」は、重めのスタイリング剤やハードめなフォームにはない軽さが出せるのが魅力です。
ミディアムとハードというキープ力の異なる2タイプの展開で、使い分けや組み合わせ次第で幅広いスタイルの表現がつくれるようにしました。
―― 最近だと、“フォーム”は珍しい印象もあります。
堀:そうですね、フォームはクセ毛風パーマやソバージュが流行した時代に人気だったスタイリング剤ですから。当サロンでも20代や30代のスタッフの中にはフォームを使ったことがない人も多くいました。
フォームが選ばれなくなってきたのは、ツヤ髪が流行している中で、ツヤ感の持続性が足りなかったためと見ています。つけたてはみずみずしくても、時間が経ってパリパリになってしまったら、やっぱり気になりますよね。
堀:でも、フォームってめちゃくちゃ便利なアイテムなので、ツヤ感や乾燥といった課題さえ解決できれば、求められるものになるはずだって思いがずっとありました。フォームは、特にパーマとの相性がいいスタイリング剤なんですよ。
―― どのような点で、フォームとパーマは相性がいいのでしょうか?
堀:泡状というのもあって、スタイリング初心者でもすごく簡単に髪全体へ馴染ませられます。濡らした髪にサッとつけるだけで、パーマの再現性が高い。
セット力を求めるときはハードワックスを使う方が多いと思うのですが、ハードワックスってつけると固まるじゃないですか。全体に馴染ませにくいので、スタイリングが難しく感じてしまう方も多いんですよね。誰でも手軽にツヤ感のあるパーマを楽しめるのがフォームのいいところです。
―― パーマのスタイリングにも使われるジェルやグリースと比較した際の、バームフォームの特長はありますか?
堀:濡らしてパーマの戻った髪でセットできるという点では、ジェルやグリースも使いやすいのですが、スタイリング剤として少し重いものが多いですよね。なので、若干ボリュームを落としてしまったり、付け方によってはペタッとしてしまったりすることがあります。また、今スタイリング剤として人気のバームやグリースでも、浮遊感の表現は難しい。
その点、バームフォームなら空気感のある軽い仕上がりをつくることができます。
試作は20以上! 万人にとっての使いやすさを追求
―― 開発にあたって、特にどんなところにこだわりましたか?
堀:開発では、フォームが持つネガティブな要素を解消することで、“今の時代に求められる新しいフォーム”を目指しました。特にこだわったのは、セット力とツヤ感のバランスですね。このバランスを理想の形にするのに1番時間がかかりました。
ハードすぎないものをつくりたかったので、「バームフォーム ミディアム」のセット力については何度もアリミノと相談しましたね。
―― そのたびにサンプルをつくられたのでしょうか?
堀:はい。開発には8カ月程度かけていて、20回近く出してもらったんじゃないかな。入れ物に日付を記載してもらっていたのですが、結構な頻度で数を出してもらっていたので、どれが最新かわからなくなったくらい(笑)。
毎回数種類のサンプルを用意いただいたのですが、そのたびに、「硬さはこれがベストです。でも、ツヤ感がもうちょっと欲しいです」とか、「ツヤ感はめっちゃいい感じです! でも、セット力がちょっと弱くなったのでもう少し欲しいです」の繰り返しで。
―― セット力とツヤ感の2つの両立が難しいんですね。
堀:そうなんです。もともとフォームは水分が飛びやすく、乾燥するとパキパキ感が出やすいという特徴があります。このパキパキ感が出ないようにするには、水分も残したいし、ツヤ感を持続させる油分も残したい。それでいて、重たくはしたくない。セット力とツヤ感のバランスのシーソーゲームのようでした。
試用期間にはウィッグやスタッフだけでなく、モデルの方にも試していただきました。サンプルを出してもらって、みんなで使って、研究開発担当の方にもスタイリングした髪を触ってもらいつつフィードバックをして、またサンプルを出してもらって……の積み重ねでしたね。
―― サンプルを使ってみたスタッフの方やモデルの方からは、どのような声がありましたか?
堀:初めて“フォーム”を使ったスタッフやモデルさんからも「使いやすい!」というコメントがあり、セットのしやすさを感じてもらえました。
それが完成品の4つ前くらいのサンプルだったんですけど、今日のモデルさんからOKが出ても、万人が使えるいいものじゃなければ意味がないなと思って。
―― そこで、さらに4回も試作を重ねられたんですね。
堀:髪質は人によって違うじゃないですか。例えば、髪が硬い人と柔らかい細毛の人では、だいぶ感じ方が違いますよね。同じスタイリング剤でも細毛の人のほうが重く感じやすいので、ツヤ感が強すぎるとぺっちゃんこになりやすい。でも、髪が硬い人には細毛の人に合わせたツヤ感では、足りなかったりする。
だから、ミディアムとハード、この2本の使い分けや組み合わせでさまざまなお客様に対応できるように調整を重ねました。
こだわりが詰まった容器設計で、泡のもっちり感や使いやすさも追求
―― 使い心地について、注力した点はありますか?
堀:泡のもっちり感ですね。泡を出した時にベチャッとしない水分量と空気のバランスにこだわって、容器のポンプ部分を調整しています。
泡が崩れないようにしたいけど、硬すぎると馴染ませづらくなる。だから、硬すぎず、柔らかすぎず、スタイリング時に均等に馴染ませやすい質感を目指しました。
―― 容器にもこだわりが詰まっているんですね。
堀:そうなんです。容器部分にも、細やかなこだわりを詰め込んでつくりました。
例えば、このような縦型の容器だと、傾け方によってはノズルから泡や液が垂れてきてベタベタしてしまうことがあって。僕はそれが嫌だったんですよね。だから、ヘッド部分も複数のノズルの形状を検討して、泡切れの良さを追求しました。
―― 中身について、香りや成分のポイントも教えてください。
堀:香りについては、爽やかなクリアインセンスの香りを採用しています。この香りの機能で、パーマの残臭をケアしてくれる働きも期待できます。
もともと、香りはあまり強くせず、自然な感じにしたいと考えていました。既に好きなアイテムで香りを楽しんでいる方も多い印象なので、それを邪魔しないほうがいいなと。そこで、ユニセックスで万人に受け入れられる爽やかな香りにしました。
成分については、保湿成分として知られる「擬似セラミド」が配合されています。さらに、毛髪補修成分を閉じ込めて潤いをキープするアリミノ独自の「トリプルフィルム処方」で、ツヤ感を表現しながらも重たくならない仕上がりが実現できました。
クシャッと揉み込めばセット完了! 2本の組み合わせでどんなスタイルも自在に表現
―― 「バームフォーム ハード」と「バームフォーム ミディアム」は、どのように使い分けたらいいでしょうか?
堀:ショートスタイルやハードパーマの方など、しっかり固めたい方、とにかくスタイルをキープしたい方には「バームフォーム ハード」。固めすぎずにニュアンスのある自然な印象で、ツヤ感あるスタイルに仕上げたい方には「バームフォーム ミディアム」がおすすめです。
初めて使う方は、まず「バームフォーム ミディアム」から使ってみると、扱いやすいんじゃないかなと思います。女性でも好まれる方の多い仕上がりだと思いますよ。
また、2本を組み合わせてセット力とツヤ感を調整することも可能です。僕は2本を合わせて使うことが多いですね。バランス次第で、どんなリッジ感でも簡単かつ自在に表現できます。
―― 実際にどのようにスタイリングするのか、教えてください。
堀:朝シャワーを浴びたあと、根元だけをドライして全体は濡れている状態で「バームフォーム」をつけてもらって、あとは自然乾燥すれば終わりです。
手のひらに「バームフォーム」を出して、潰すようなイメージで手に馴染ませたら、それをクシャクシャッと髪に揉み込んでいく。これだけでOKです。30秒〜1分くらいで、簡単にパーマを生かせます。
―― どれくらいの量を使うのがおすすめですか?
堀:レングスや髪の量にもよりますが、「バームフォーム ハード」も「バームフォーム ミディアム」も、ショートの方なら卵1個分くらい。もう少し長い方なら卵2個分が目安。あとは仕上がり具合によって少しずつ足して調整してください。
製品も使い方も具体的に伝えるのが、お客様への提案のコツ
―― 「バームフォーム ハード」と「バームフォーム ミディアム」をお客様へおすすめする際のポイントを教えてください。
堀:とにかく「簡単」が一番大事。
以前はスタイリングって、鏡の前で長い時間を使ってセットするような、ヘアスタイルをつくるのが本当に好きな人たちがやるものだった印象ですが、最近はそれが変わってきています。今は「簡単でいいからちょっとだけセットしよう」という人が増えているんですね。
「バームフォーム」はまさに、そんな手軽さを求める方たちに向けてつくりました。簡単で、再現性があってカッコよくキマることを伝えてもらえたらと思います。
―― パーマが初めての人でも、簡単と言われたら挑戦してみやすそうです。
堀:実際に当サロンにもパーマ初挑戦のお客様はよくいらっしゃるんです。あとは、一度パーマをやってみたもののうまくスタイリングができなかった経験があり、「fifthはメンズパーマが得意だと聞いたから、もう一回挑戦してみようと思って」とご来店くださるお客様もいらっしゃいます。そういった方にお話を伺うと、それまでスタイリング剤の提案があまりされていないケースが多いんですよね。
そうすると、みなさんドラッグストアなどで「人気」って書いてあるものをとりあえず選んで使っていらっしゃるんです。
―― 確かに、とりあえず「人気」を選ぶ方は多いですよね。
堀:でも、一人ひとり髪質もスタイルも違うので、人気だからといってその人にあっているとは限りません。その結果、スタイリングがうまくいかず「難しい」と感じてしまう。
だから、当サロンでは「まずはこのアイテムを使ってみてください」とスタイリング剤を具体的に提案するように心がけています。
これを求めるなら「ハード」1本で、このぐらいなら「ミディアム」1本で、あなたのスタイルは「ハード」と「ミディアム」を1:1でと、量や使い方まで丁寧に提案するようにしています。
―― 初心者以外の方には、どのようにおすすめされますか?
堀:それもやっぱり、簡単にキマって時短ができるのは魅力だと思います。あとは、フォームだけど濡れ髪が表現できるので、大人っぽい色気が欲しい方には提案していただきたいですね。
また、2本の組み合わせでセット力を調整できるので、髪が伸びてきても使えます。言い換えれば、ライフスタイルに合わせてヘアスタイルを変えていっても寄り添ってくれるんです。一度買ったけど、髪型を変えたら使えないっていうのは、嫌じゃないですか。
だんだん自分のスタイルを決めつつあるけれど、何を使ったらいいか分からないという若い方から、自分のスタイルは確立しているけれどより手軽にスタイリングをしたいという方まで。幅広い年代の方々に、長く使っていただけるとうれしいです。

堀雄大Yudai Hori
fifthグループ ブランディングマネージャー、RETØUCH by fifth 代表
東京都出身。日本美容専門学校卒。by fifthの店長を経て、fifthグループ総店長、現在は美容師の枠を超えたブランドマネージャーを務める。サロンワークで活躍する中、YouTubeやアパレルなど多岐に渡り「fifthの看板」としても活躍中。
Instagram:@hori_yudahi
(執筆/廣瀬翼、取材・編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)











