メンズ向け新スタイリングブランド「MarkU」誕生! 開発アドバイザーのfifth TOKYO内田佳佑さんに聞く、メンズパーマのトレンドと男性の美意識の変化。「MarkU」の特長についても解説!
2024年3月、美容に関心のある20代後半の男性をターゲットにした新スタイリング剤ブランド「MarkU」を発売。本ブランドは、ヘアスタイリング2種(ジェルグリース/ベースミルク)、眉スタイリング2種(アイブロウペンシル/アイブロウワックス)の計4種のラインアップで、髪から顔の印象まで整えるアイテムです。
中でも、「ジェルグリース」と「ベースミルク」は、現在のメンズヘアのトレンドであるパーマの「スタイリングの持続」や「パーマダメージによるパサつき」に対応したアイテム。この「MarkU(マークユー)」の開発には、「fifth TOKYO(フィフス トウキョウ)」の内田佳祐(うちだ けいすけ)さんが参加しました。今回は、内田さんが考えるメンズパーマのトレンドを伺うとともに、「MarkU」の特長・使い方、そして男性の美容意識の変化について話をお聞きしました。
「パーマの技術と薬剤の進化」と「今の質感のトレンド」がマッチした結果、メンズパーマの人気がさらに拡大!
―― 最近ではどのようなパーマスタイルがトレンドなのでしょうか?
内田さん(以下敬称略):今は「こんなパーマスタイルがトレンド」というよりも、パーマスタイル自体がメンズヘアのトレンドになっていて、種類も本当にさまざまです。全体的には柔らかい質感のパーマスタイルがお客様から求められているように感じます。
具体的には、2〜3年前からツイストスパイラルパーマや波巻きパーマが流行りだして、そこから従来ある平巻きやスパイラルとカットベースを合わせて、柔らかい質感の「シャドウパーマ」、無造作でラフな外国人風の「スペインカール」が生まれ、韓国テイストの「カルマパーマ」、常田大希さんのような「常田風パーマ」、「ミディアムパーマ」、「ボブパーマ」など。バリエーションがものすごく豊富になりました。
―― パーマスタイルのバリエーションが豊富になった理由はあるのでしょうか?
内田:最大の理由は、パーマの技術の進歩、薬剤の進化ではないでしょうか。これによって、なりたい質感・スタイルがだいぶ表現できるようになり、お客様一人ひとりの「なりたい」に応えられるようになったと感じています。
実際、fifthに入ってから約4年半、ツイストスパイラルパーマから始まり、波巻きパーマ、シャドウパーマなど色々なパーマスタイルを提案してきましたが、リキッドパーマからクリームパーマ、ミルクパーマに変わった時に「今までできなかった柔らかい質感がつくれるようになった!」と感じましたね。
―― では、どうしてメンズパーマはここまで人気が出たのでしょうか?
内田:理由としては、パーマスタイルが「今のトレンドに合っている」からだと思います。昔はカットでレイヤーを入れて軽い質感にし、それをアイロンで仕上げるスタイルが主流でしたが、実は軽い質感とパーマってあまり相性が良くないんですよね。その点、今トレンドの韓国風の重めのスタイルなどは、パーマとの相性が良い。そうした時代性もあってパーマの人気が高まっているのだと思います。
内田:また、さまざまなパーマスタイルがSNSで発信されているので、お客様の目にふれる機会も増え、メンズパーマのニーズが増えたと思います。結果的に、メンズパーマに力を入れるサロン自体も増えて、より人気が高まっているように思いますね。
―― メンズパーマをする上で、お客様からはどのようなことを求められていると感じますか。
内田:メンズパーマに限りませんが、「汲み取り力」ではないでしょうか。SNSなどを含め、情報がたくさんある分、常田大希さんのような強さのあるパーマを求めている人、韓国風にしたい人など、それぞれが自分のなりたいイメージを持っています。その「なりたいもの」、つまり、なりたい雰囲気やヘアスタイルを汲み取れるかどうか。それが美容師に求められていることだと思います。
―― 今後、メンズパーマのトレンドはどのように変化していくと思いますか?
内田:パーマスタイルがどんどん細分化していくという流れはこれからも変わらない気がしますね。ただ、「柔らかい質感」は引き続き求められていくと予想しています。
また、パーマスタイルを希望する年代層は20代から30代がメインですが、40代から50代になってもずっとできる施術。かけ方を変えることで、年代に合わせたパーマスタイルを提案していくことも可能です。若い頃のようにトレンドを追うだけでなく、「ボリュームがなくなってきた」などのエイジングのお悩みも解消できます。トレンドは変化していきますが、メンズパーマそのものはお客様に長く楽しんでいただけると思っています。
「ジェルグリース」と「ベースミルク」を組み合わせることで、さまざまなパーマスタイルにマッチする
―― 内田さんには、「MarkU」の開発に参加していただきました。まずは「ジェルグリース」の特長について教えてください。
内田:「MarkU」の「ジェルグリース」は、なじみが良いのが特長です。ツヤが出るのにギラつきすぎず、上品なのも良い。セット力があり、ケアもできます。メンズスタイリングに欠かせない「なじみの良さ」「ツヤ感」「持続性」の三拍子揃ったバランスが取れたアイテムだと思います。また、ほどよく乾きが早いのもポイントです。
パーマ技術の進歩、薬剤の進化で、なりたい質感・スタイルが表現できるようになりましたが、スタイルの再現性と持続性を高めるためには、「ジェルグリース」のようなスタイリング剤は欠かせないですね。
―― 「ジェルグリース」はどのようなスタイルに使うのがおすすめですか?
内田:「ジェルグリース」は、トレンドのパーマスタイルに幅広く対応できると思います。ゆるいパーマ、強いパーマにも使えますし、「ベースミルク」と併用すれば、ミディアムからショートまでどのレングスにも。ショートヘアでセット力が必要な時は「ジェルグリース」を単品で使うのがおすすめですが、ミディアムやウルフの場合は「ベースミルク」を組み合わせて使うと「ジェルグリース」のセット力が少し抑えられ、なじみがさらに良くなります。
―― 「ジェルグリース」と「ベースミルク」、2つを組み合わせることでどんなスタイルにも合わせられるということですね?
内田:そうですね。セット力のある「ジェルグリース」に「ベースミルク」を組み合わせることで、ニュアンスや質感を調整できるので、さまざまなスタイルにマッチします。
―― 「ベースミルク」の特長についても教えてください。
内田:「ベースミルク」は、なじみが良く、指通りの良いなめらかな質感にしてくれるのはもちろんですが、アウトバストリートメントであり、スタイリング剤にもなるというのが特長です。セット力は控えめですが、ワンカールのサラッとしたスタイルなら「ベースミルク」だけで十分。「今日はスタイリングしたくない」という時や「サラッとした質感に仕上げたい」時など、また、スタイリング剤のベタつきが気になる方でも使いやすいですね。
―― 「ジェルグリース」と「ベースミルク」は、香りについてもこだわったと伺いました。
内田:はい。男性にも女性にも好かれるずっとつけていたくなるような香りで、パーマの残臭もケアしてくれます。
―― スタイリング剤をお客様にご提案する際のポイントを教えてください。
内田:サロンワークでは、ヘアドライ前に「このベースミルクを使っていきますね」と紹介します。その後に「これはヘアケアもできるんです」とアイテムの特長をお伝えしていますね。その上で、ジェルグリースを見せながら、「お客様のスタイルだったらベースミルクだけでもいいですが、ジェルグリースがあれば、混ぜて使うのも良いですよ」と組み合わせて使う方法も提案します。そうすることで、お客様が家で使う時のイメージがしやすくなるんです。
内田:ポイントは「2つあれば、ケアもスタイリングも両方できる」という点。スタイリング剤を2つ購入するのはハードルが高いと思うのですが、ケア剤とスタイリング剤ということであればハードルが下がります。クロージング、フィニッシュの時以外はお客様にご提案する機会がないので、施術中に、いかに家で使う時のイメージを持たせられるかが美容師の腕の見せどころだと思います。
高まる男性の美意識。男性の「やりたい」気持ちを後押ししてあげるのが美容のプロフェッショナルである美容師の役割
―― 今回「MarkU」では、アイブロウのアイテムも同時に発売していますが、ヘアや眉に限らず、男性のお客様の美容に関する意識は変化していると感じることはありますか?
内田:そうですね。男性のお客様の美容全般に対しての意識は上がっていると思います。最近では、SNSに「美容男子」として発信をしている人も多いし、かつてあった「男性で美容意識が高いことはダサい」という感覚も無くなってきていると感じます。韓国では、男性がメイクをすることも一般的になってきているので、日本もこれからそうなっていくのかもしれません。
実際、眉ワックス施術など、アイブロウサロンで整えている男性は増えてきていると感じています。眉は、相手に与える印象に大きく関わってくるパーツ。毛がボサボサか、整っているかで、清潔感や男らしさといった印象が全然違いますよね。まだ、男性でペンシルを使って眉を描く人は少ないですが、今後はより増えていくと思いますね。
内田:一方で、男性のお客様の場合、「眉をどうにかしたいけど、何をすればいいかわからない」「言うのが恥ずかしい」という人もまだ多いんです。だからこそ「やりたい」と思っている男性の背中を押してあげるのが僕たち美容師の役割だと思います。
―― 「アイブロウワックス」「アイブロウペンシル」それぞれの役割や特長を教えてください。
内田:眉毛がいろいろな方向を向いている人は、「アイブロウワックス」で毛流れを整えてあげるのがおすすめです。いわば眉毛のスタイリング剤のような役割。逆に、既に眉毛の方向性がキレイな人は使わなくてもいいと思います。
「アイブロウペンシル」は、黒ベースだけど、真っ黒すぎないナチュラルなダークトーンなのが特長。ちょっと角があるので、そこをベースに描くと、初心者の方でも描きやすいと思います。描く時は、線をひくように描くというよりは、1本ずつ毛を描き足すイメージですね。
内田:ただ、やはり眉毛がボサボサの状態でペンシルやワックスを使うのは難しいと思います。まずは眉サロンや美容室で眉をキレイに整えてもらってから、プラスアルファで「MarkU」の「アイブロウワックス」や「アイブロウペンシル」を使っていただくのがおすすめですね。
―― 男性の眉のトレンドというものはありますか?
内田:今は太すぎず、細すぎないナチュラルな眉が流行っています。並行眉やアーチ状眉など、デザインに関しては、トレンドよりもその人の顔や雰囲気に合わせたナチュラルな眉に仕上げるのが今の主流ですね。
―― 最後に、これから「MarkU」を手に取る美容師さんへメッセージをお願いします。
内田:美容に対する意識が高まっている今、お客様にとって一番身近な美容のプロである美容師が、ヘアスタイリングの方法を提案したり、眉のスタイリングのメリットを説明したりすることで、より美容への親近感や肯定感を持ってもらえると思います。
また、美容師である限り、お客様に「来て良かった」と感じてもらいたいと思っているはず。そう感じてもらうためには、美容のプロとしてお客様に「どれだけアドバイスをできるか」「どれだけ必要なものをご説明・ご提案できるか」が重要になってきます。技術ももちろん大切ですが、「人との会話力」も同時に磨いていくことで、接客の質が向上するだけでなく、お客様に必要とされる美容師になっていけるのではないかと思っています。
内田佳佑Keisuke Uchida
fifth TOKYO 店長
1995年生まれ、東京都出身。ハリウッド美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て2019年fifthに入社。メンズパーマを徹底的に習得し、2022年にfifthの新店舗・渋谷店の店長に抜擢される。現在はfifth TOKYO店長として 圧倒的な技術力、仕事量、スピード、リーダーシップで現場を率いる。
Instagram:@ keisuke__hair
(取材・執筆/池山章子、編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)