施術の幅が大きくUP! フルバージョンアップ&弱酸性アイテム登場の「クオライン」、gite浜口ユウイチさんに聞く開発の視点と活用法

Jun 26.2025
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2025年7月、多様なクセ毛の個性にアプローチする「クオライン ストレート&カール※1(以下、クオライン)」が全面バージョンアップ。さらに、混在ダメージ毛やハイダメージ毛にも対応できる「CA-C 110(化粧品)」「T-C 50(化粧品)」と、「ミルクOX 2剤(医薬部外品)」※2が新たに加わります。

中でも注目は、アルカリ剤不使用の「CA-C 110」と「T-C 50」。開発を監修したgite総代表・浜口ユウイチ(はまぐち ゆういち)さんは「これでストレートはすべてクオラインで完結。これまでハイダメージ毛などでストレートを諦めていたお客様にも提案できる」と話します。

今回は、2025年5月にアリミノ本社で開催されたセミナー『Straight Seminar』の終了後、監修者の浜口さん、開発に協力したgite KOHOKU店長・チバミツルさん、gite SHIBUYA店長・菊(きく)さんのお三方に、新クオラインの特長や開発の様子、使い方のポイントを伺いました。

※1 化粧品のみ
※2  CA-C 110:アリミノ クオライン CAーC 110(化粧品)、T-C 50:アリミノ クオライン T-C 50(化粧品)、ミルクOX 2剤:アリミノ クオライン ミルクOX 2剤(医薬部外品)

弱酸性アイテム登場で、どんな施術も「クオライン」で完結できる

―― 今回のクオラインのバージョンアップでは、新たに弱酸性のアイテムが2つ発売されます。

浜口さん(以下敬称略)アルカリ剤が入っていないクオライン。これは、本当に「待ってました!」という美容師さんが多いのではないでしょうか。

アリミノはパーマカテゴリーで業界シェアNo.1。既存のクオラインもダメージに配慮された処方でしたが、ベースの髪の状態によってはアルカリ剤が入っていると髪への負担が大きく、施術後の質感や仕上がりに影響が出やすくなります。そのため、ブリーチカラーの繰り返しなどでハイダメージ毛になっているお客様の中には、縮毛矯正やストレートパーマを諦めざるを得ない方もいらっしゃいました。

菊さん(以下敬称略)そういったお客様には、トリートメントでのアプローチを提案するなどしてきました。でも、やっぱり質感や収まり、重さが、髪質改善やストレートを求めるお客様の理想の仕上がりとは異なってくるんです。

チバさん(以下敬称略)これまでストレートを諦めてきたハイダメージ毛の方は、ダメージがあるからこそ、髪質改善やストレートで髪をきれいにしたいのにできない、というジレンマがあったわけです。そのニーズにアプローチしていけるのは大きいですよね。

―― 酸性ストレートの「クオライン アシッド」でも、対応は難しかったのでしょうか?

チバ「アシッド」で対応できるお客様もいらっしゃいます。ただ、酸性ストレートは、薬剤選定や施術に少しコツとトレーニングが必要で、導入にハードルを感じるサロンもあったと思います。また、インナーカラーやハイライトなど、人によってダメージの仕方もさまざまになった環境では、「アシッド」だけでは対応しきれないところもありました。その点、今回の「CA-C 110」と「T-C 50」ではさまざまなダメージに対応するカバー力を実現しました。

浜口さらに、今回の新アイテムでは既ストレート部分にもアプローチできるようになりました。これまでは新生部はクオライン、既ストレート部分は他社品の弱い薬剤を使っていたサロンも多かった印象ですが、これからは根元から毛先まで一貫してクオラインで施術できる。施術の幅が格段に広がって、対応できない髪は、ほとんどないんじゃないかなというくらいです。

取材同日に開催された『Straight Seminar』でもクオラインの新アイテムが紹介された

―― どんなお客様にも、ストレートをクオラインで対応できるのですね。

浜口そうです。開発では「クオラインだけでストレート&カールを完結できるようにすることで、アリミノを本当の意味でのパーマ領域No.1にしてやるぞ!」という強い思い入れで臨みましたね。

チバどんな髪質や履歴の髪でもクオライン1つで完結できるので、薬剤選定がシンプルになります。また、クオライン同士の組み合わせによる繊細な調整もできるので、サロン現場でも喜んでもらえると思います。

浜口経営視点でも、1つのブランドで完結できれば在庫管理や請求の管理が楽になるので、ありがたいんですよ。

左から「アリミノ クオライン ミルクOX 2剤(医薬部外品)」、「アリミノ クオライン CA-C 110(化粧品)」、「アリミノ クオライン T-C 50(化粧品)」

―― 「CA-C 110」と「T-C 50」は、どのように使い分けると良いでしょうか?

浜口「T-C 50」は毛先などハイダメージな部分に。「CA-C 110」は根元など、刺激を抑えつつもしっかり使いたいというところに、がベースです。あとはダメージ度合いや、どのぐらい強くかけたいかで、2つを組み合わせて調整してください。

―― 2アイテムが同時に登場することで、弱酸性の領域で組み合わせて調整できるわけですね。

浜口その通りです。既存のクオラインも「CA-C 130」を軸に、必要な強さに合わせて組み合わせて調整する美容師さんが多いと思いますが、考え方はそれと同じです。また、「CA-C 110」や「T-C 50」を既存のアルカリ領域のラインと組み合わせて使うこともできます。

“毛先の先の先”まで質感を諦めない。アリミノだから生まれた「引き算」の処方

―― 開発にあたって、特にどんなところにこだわりましたか?

浜口とにかく質感ですね。毛先の先の先まで、ジョリッとした引っ掛かりが残らないよう、こだわりました。

pHは変えず、だけど質感は変えてほしいと、何度もフィードバックを重ねてきました。最初にたたき台としてサンプルを持ってきてもらったのが、2024年の1月なので、1年以上かけてきましたね。

浜口毎回、事前に5〜6種類のサンプルを送ってもらって、毛束などで試し、2つに候補を絞るんです。それで、アリミノさんにサロンへ来てもらって、モデルさん2名でテスト。その場でフィードバックして、また次のサンプルを5〜6種類送ってもらう、の繰り返し。サロンでのテストとフィードバックは、毎回4時間くらいかけていました。

チバ結局、テストは14回行なったんですよ。そこで全員が納得する結果になって、やっと2025年の3月に処方が確定しました。

浜口薬剤に詳しくない人や新人さんでも簡単に使えて、いい仕上がりになる。それでいて、ベテランも驚くものに出来上がったと思います。

―― どんな点でベテランの美容師さんが驚くのでしょうか?

浜口「このスペックで、ここまでいい仕上がりになるわけがない!」ですね。処方だけを見たら「ダメージレスだけど、ちょっと物足りないんじゃないかな」と予想されると思うんです。でも使ってみたら、予想を超える仕上がりで、絶対驚きます。

―― なぜ、その仕上がりを生み出せたのでしょうか?

浜口最も特長的なのは、「トステア®︎」(アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム)の配合です※。

「トステア®︎」は2023年に販売が開始されたばかりの新しい成分で、ストレート効果をサポートする補修成分なんです。ダメージ毛に弾力を与え、ざらつきを低減してなめらかな指通りにしてくれます。

※「トステア®︎」の配合は「CA-C 110」「T-C 50」のみ

浜口それから、ベテランが驚くポイントとしてもう1つ。還元剤のシンプルさも特長ですね。「CA-C 110」はシステアミンとシスのみ、「T-C 50」はチオとシスのみ。こんな処方、僕もこれまで見たことがありません。

チバ自分が開発者だったとしたら、もうちょっと何か加えちゃいそうですよね。

浜口自分もそうだな。だから、最初に処方を見たとき「なんだ、この処方は!」と驚きました。料理にたとえると、卵焼きを作るのに最高級の卵と塩を見つけてきて、その素材の良さだけで勝負するみたいな感じなんです。

―― シンプルな処方であることで、どんなメリットがあるのでしょうか?

浜口混じり気がない分、髪質による違いが出にくくなって、仕上がりが安定しやすくなります。でもね、それで十分な仕上がりを引き出すのは、難しいんですよ。アリミノのこれまでの研究の蓄積と意地を感じさせる、勇気ある「引き算の処方」だと思いますね。

色落ちリスクを抑え、カラーと同日施術も可能。お客様は触る前から仕上がりに好反応

―― カラーなど、そのほかの施術との相性はいかがですか?

浜口「CA-C 110」「T-C 50」は薬剤表示が「化粧品」なので、カラーと同日施術もできます。

あと、カラーの色落ちも激減しました! アルカリの薬剤だとカラーが色落ちしやすいので、これまでは事前に説明してご理解いただいていても、「お客様はもう少しこの色を楽しみたかったかな……」と心苦しく思うことがあったんです。特にブリーチカラーの繊細な色みだと、ダメージも蓄積されていて色が抜けやすかったりして……。「CA-C 110」「T-C 50」はアルカリ0で色落ちしにくいので、そういったシーンがなくなりました。

―― それは一層、お客様にご提案しやすくなりますね。実際に使ってみた、お客様の反応はいかがですか?

チバみなさん、「変わった!」という反応をされますね。

私は「新しくて良いものが入ったんですよ」とお客様にご提案していて、施術が終わったらまず見た目で「これまでとなんだか違う!」「するっときれいに収まってる!」と喜ばれます。

チバそれも、しっかり収まるけれどナチュラル、という点が喜ばれますね。

それから髪を実際に触ってみたら、手触り・指通りに驚かれます。「ちゅるんとしてる」「ダメージを感じない」って。しっかり質感の変化をお客様に感じていただけていますね。

浜口それだけ、“毛先の先の先”までこだわりましたから。すごく細かなところだけど、お客様にはしっかり伝わるんですよ。

パーマスタイルでも活躍。2つのアイテムで強さも調整できる

―― ここまでストレートの施術について伺ってきましたが、「CA-C 110」「T-C 50」はパーマスタイルにも活用できるのでしょうか?

浜口できます。僕がデジタルパーマでも弱酸性のクオラインを活用したかったので、ストレートにもカールにも対応できるスペックでつくりました。

クオラインはストレートブランドですが、クオラインを活用してデジタルパーマの施術をしている美容師さんは多いと思うんですよ。パーマスタイルでも、弱酸性の「CA-C 110」「T-C 50」なら、ダメージを極限まで減らして“毛先の先の先”まで理想のカールと質感を叶えられます。

―― パーマスタイルに活用するときは、どのように使うと良いでしょうか?

浜口「CA-C 110」は乾熱式に、「T-C 50」は湿熱式に向いていますが、それぞれどちらにも使えます。試してみて、もう少し強くしたいと感じたら、2つを組み合わせて調整してください。もちろん、パーマスタイルでもストレートと同様、既存ラインと組み合わせて使うこともできます。

実は「T-C 50」は、もしストレートへの対応だけにするなら、もう少し強くしようかなと悩むくらいのスペックで設計しています。でも、少し強くしたいときは「CA-C 110」を組み合わせれば対応できる。だから、パーマスタイルまで対応を広げて、より施術の幅が広がる仕様にしたんですよ。

既存ラインもバージョンアップ。操作性アップでダメージレスかつ時短に

―― 今回は既存のラインも全アイテムバージョンアップされますね。

浜口使用方法やスペックは従来のまま、操作性と快適性が向上しています。薬剤選定などはこれまで通りの感覚でできて、かつ、より使いやすくなりました。

―― 操作性はどのような点で向上しているのでしょうか?

浜口1剤と1stクリームは、なめらかで髪なじみが良い粘性になって、塗布がしやすくなりました。また、今回のバージョンアップに合わせて2剤にミルクOXを追加しています。OXよりも柔らかく、アプリケーターでの塗布も可能な粘性です。それでいて液ダレもしない、ちょうど良い粘性に仕上がっています。

本当に塗布がスムーズで伸びが良くて、塗り心地がなめらかなんですよ。

浜口塗布時の摩擦などのダメージが減りますし、塗布ムラも少なくなります。さらに髪への浸透性も良いので、操作性の向上がそのまま仕上がりの良さに直結しますね。

チバ柔らかくなじみがいいということは、油分などがより軽いということでもあるので、中間水洗後のドライとアイロン操作もしやすくなります。時短にもつながっていますね。

―― どのぐらいの時短になっていますか?

長さやボリュームにもよりますが、塗布は3〜5分短縮できるようになったと思います。

チバ中間水洗後のドライとアイロン操作も、それぞれ5分ずつくらいですね。なので、合わせて15分弱です。

浜口あとは、快適性の向上でいうとマスキング性能ですね。全アイテムの香料を変更して、薬剤のツーンとする刺激や残臭が感じにくくなりました。施術時間が短くなって、香りもいい。施術のしやすさや仕上がりの良さはもちろんですが、お客様にとっての快適性も上がっていて、より喜んでいただけるかなと思います。

『Straight Seminar』でのモデルデモンストレーションの様子

―― 最後に、これからバージョンアップ&新アイテムが登場したクオラインを使う美容師さんへ、メッセージをお願いします。

浜口今回のアップデートは「施術の幅が格段に広がった」。これに尽きます。

アルカリ0の「CA-C 110」「T-C 50」で、これまでストレートを諦めていたお客様に新たな提案ができる。あるいは、妥協していた毛先までしっかりこだわれて、仕上がりもお客様の満足度も上がる。パーマスタイルにも対応できる。クオラインというブランドが、ストレート&カールで対応できないことはないんじゃないかというくらいの、魔法のようなアイテムになったと思います。

サロンによっては、今回のアップデートを受けて新メニューを展開できたり、お客様への積極的なご提案ができたりして、顧客単価アップにもつながるのではないでしょうか。

さまざまな活用ができると思うので、まずは一度使ってみていただきたいですね。

Profile
gite / tolce by gite / bel by gite / Balo Beauty Room 総代表 浜口 ユウイチ

浜口 ユウイチYuichi Hamaguchi

gite / tolce by gite / bel by gite / Balo Beauty Room 総代表

三重県出身。山野美容芸術短期大学卒。都内トップ美容室を経て、2018年にgiteを立ち上げ。翌年には三軒茶屋にネイル&アイラッシュサロン Balo Beauty Roomをオープン。自らの手で一から教育した万全のスタッフと共に、2021年に渋谷・奥渋エリアで2店舗目を出店。2023年には原宿竹下通りに3店舗目のtolce by giteを、2024年には福岡に4店舗目のBEL by giteをオープン。カット、カラー、パーマ、縮毛矯正などすべての技術で外部講師を務め、特定の技術に特化しないストロングタイプの美容師として厚みのある講習が人気。

Instagram:@hamaguchiyuichi

gite KOHOKU店長 チバ ミツル

チバ ミツルMitsuru Chiba

gite KOHOKU店長

福島県出身。住田美容専門学校(現 渋谷美容専門学校)卒業後、神奈川県内の数店舗を経て2022年giteへ入社。2023年よりgite KOHOKU店長を務める。ナチュラルなスタイルと、髪のクセをコントロールするカットや髪質改善を得意とする。お客様一人ひとりのクセのお悩みと向き合い、毎朝スタイリングが気持ちよく決まる施術提案とアドバイスを行なっている。

Instagram:@gite.chiba

gite SHIBUYA 店長 菊

Kiku

gite SHIBUYA 店長

福島県出身。ベルエポック美容専門学校卒業後、2018年giteへ入社。2023年よりgite SHIBUYA店長を務める。女性目線でつくる柔らかな質感や艶、自宅で再現しやすい似合わせスタイルが得意。ナチュラルな髪質改善や重くならないカラーにも定評がある。また、メンズのストレートやパーマスタイルのオーダーも多く受ける。

Instagram:@gite_kiku

(取材・執筆/廣瀬翼、編集/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)

この記事で紹介した商品
クオライン

クオライン

質感、デザイン、
想いのままに。
商品情報詳細
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