こだわりは青みと紫みのバランス! アドミオ新色「ウィスタリア」の特徴は? ツギ²イロプロジェクト開発サロンDoll hair ZENさん×アリミノ開発担当の新色深掘りトーク
「カラーストーリー アドミオ」(医薬部外品)の“つぎ”を、美容師のみなさんとアリミノが共に考えるサロン参加型新色開発企画。その第二弾として、2021年に『ツギ²イロプロジェクト』が始動しました。今回のテーマは『2022年20代の働く女性を“ポジティブ”にするオリジナルカラー』。日本全国から集まったレシピの中から選ばれた2系色を製品化し、2022年5月より1年間限定で発売します。
製品化されるのは「Doll hair(ドール・ヘア)」のZEN(ぜん)さんによるバイオレット系カラーの「ウィスタリア」と、「Qilt+LIM(キルト・プラス・リム)」の池田充(いけだ みつる)さんによるマット系のカラーの「レインウッド」です。今回は発売記念として、「カラーストーリー アドミオ」を担当するアリミノ商品開発部の竹内叶夢(たけうち かなみ)とマーケティング部の児玉いつみ(こだま いつみ)、そして「ウィスタリア」の開発に携わったZENさんによる新色の深掘りトークをお届けします。
「青みと紫みのバランスが難しかった」というZENさんと児玉ですが、完成したカラー剤は染め上げたときの色みと退色時のきれいなベージュに、お客様からも大きな反響があったそう。そんな「ウィスタリア」の特徴と、開発過程でのこだわりを伺いました。
強い彩度と発色の良さで、ワンタッチでデザインカラーも仕上がる。透明感ある軽やかな印象に仕上がるバイオレット系カラー
ZENさん(以下敬称略):「ウィスタリア」は青みを感じるバイオレット系カラーです。こだわったのは、彩度の強さと発色の良さ。ブリーチなしでも、ほのかにバイオレットを感じられます。また、青みがアンダーの赤みを抑えてくれるので、ブリーチ毛であっても色のブレが少なく、柔らかい透明感と艶感を表現できます。
近年、お客様からは圧倒的に透明感を求められていると感じています。でも実際は、透明感を表現するために髪色を明るくしたくても、仕事の都合で明るくできないという方が少なくないんです。だから、色が落ちて明るくなってきた部分は少し暗くしつつ、だけど透明感が欲しいとなる。僕はそんなカラーを「暗透明感カラー」って呼んでいるんですけど、「ウィスタリア」はそれを実現するカラー剤だと思います。
竹内:今回の募集テーマは『2022年20代の働く女性を“ポジティブ”にするオリジナルカラー』。開発色は実際に20~30代の一般女性約100名による投票審査で決定したのですが、やはり透明感へのニーズが高いことがうかがえました。
ZEN:この1年くらいのサロンワークでは、新型コロナウイルスの影響もあってか、フルブリーチを希望する方は減っている印象がありました。一方で、イヤリングカラーやインナーカラーなどの部分ブリーチは増えているんです。これまでブリーチカラーをしてみたかったけれど、お仕事柄なかなか踏み切れなかったという方が、在宅勤務になったことで「一部だけなら」と挑戦しやすくなったケースがあるのではと思います。
だから、ブリーチなしでの透明感と、ブリーチ毛での色みと、両方にこだわりました。部分ブリーチをした後にワンタッチで「ウィスタリア」を使えば、ベースは落ち着いた明度でありながら透明感と軽やかさのあるカラーに、ブリーチ部分はビビッドなバイオレットカラーになります。
また、青みのあるバイオレットで、甘すぎず、かといってコンサバすぎない仕上がりになるよう目指しました。
児玉:「ウィスタリア」をつくる上で鍵になったのは、その青みの種類と紫みのバランスです。一口に「青み」と言っても、いろんな青があります。そのさじ加減は、なかなか難しいんですよ。
ZEN:バイオレット系のカラー剤は数多くあるのですが、暖色寄りのものが多いんですよね。寒色系のものもあるのですが、それも僕はもう少し青みが欲しいなと思って、これまではネイビーを組み合わせたり、塩基性カラーを組み合わせたりしていました。でも、組み合わせるカラー剤が増えれば増えるほど、退色時に濁りやすい。その点「ウィスタリア」は一本で染め上げるので、濁りが少ないきれいなベージュに抜けていきます。
今、ベージュ系がサロンワークでも人気で、ファッションでも単色のベージュやホワイト系のコーディネートが増えていますよね。だから退色がきれいなベージュになっていくというのも、「20代の働く女性」のニーズで大切なポイントだと思います。
児玉:その退色過程も、青みと紫みのバランスにこだわったからこそ生まれたもの。「ウィスタリア」の開発過程では、特に青みの種類にこだわって、ZENさんと何度も調整しましたね。
一人のスタッフの髪を1/4に分けてサンプルテストも?! サロン総出で取り組み、カラー教育にもつながった
ZEN:送っていただいたサンプルを全部試してフィードバックするのは、当初思っていたよりも本当に大変でした(笑)。コロナ禍ということもあり、やりとりのほとんどがオンラインだったので、微妙な色みのニュアンスを伝えるのも苦労しましたね。
児玉:ZENさんは毎回必ず試した写真を送ってくださったんです。それがとても分かりやすくてありがたかったですね。
特に1回目のフィードバックは印象深かったです。最初「寒色系」「理想のバイオレット系の色をつくるのにネイビーを組み合わせている」という話から、かなり青みが強いイメージでサンプルをつくりました。そうしたら、「違う」って反応と共に、ZENさんの目指したいイメージ写真が送られてきて。そこでやっと方向性が定まりましたね。さらに「もう少しいい感じにならないですかね?」というコメントもいただいて、そこにZENさんの本気度を強く感じ、私たちもより気が引き締まりました。
ZEN:その段階では、まだどうしたら理想の色に近づけるのか分からなくて、「いい感じ」としか表現しようがありませんでした(笑)。
青みは欲しいのですが、強すぎるとアッシュに引っ張られてしまい、ブリーチ毛に塗布したときに色ブレが起きてしまったり、紫みよりも青みが前に出てしまったりする。だけど、今回つくりたかった色は、紫みをしっかり感じられるもの。だから、青みを強くする分、バイオレットも強くしてほしいと伝えました。
児玉:その絶妙なバランスは、3度のサンプルのやりとりで細かくコミュニケーションを取ったからこそ実現できたと思います。
竹内:フィードバックではサロンのスタッフさんでテストされた写真を送っていただいたのですが、一人の頭を1/4ずつ分けて、4つのサンプルを試してくださって。サロン総出で取り組んでいるその様子に、びっくりしました。スタッフのみなさんだから、退色過程を細かく記録して共有いただけるのも、とても参考になりましたね。
ZEN:複数のサンプルがあって、スタッフ数も限りがあるので、一人で4サンプルくらい比べないとなかなか全部は試せなかったんです(笑)。でも、似ているサンプルを一人で試すことで、その微妙な違いがより分かりやすくなるという利点もありました。
ZEN:僕は今、店舗でカラー教育を担当しているのですが、実際にスタッフでテストして、退色過程までみんなで見られるのは貴重でしたね。例えば塗布の仕方ひとつとっても、サロンワーク中にお客様の前で「塗り方は、こう」と具体的に説明するのは難しいじゃないですか。それがテストしながらできる。退色も理論だけの机上の話ではなく、一日一日の変化を実際に見て感じられる。ちょっとした色みのバランスによる仕上がりの違いも知れる。サロン全体のカラー技術向上の観点からも、すごく良い経験でした。
最初は柔らかな色みを感じ、退色ではきれいなベージュに。2度楽しめるカラーにお客様からも反響
ZEN:スタッフにサンプルでカラーした際、10日後の退色してきた状態の写真とカラー直後の色みをしっかり感じる状態の写真を並べてInstagramにアップしたのですが、その投稿への反響がすごかったんですよ。「きれいなベージュ! この色になるようにして欲しい」という声をサロンワークでもよくいただきました。あらためて、「これはやはり求められているカラーだな」と自信につながりました。
児玉:染めたときに色みを感じ、退色できれいなベージュに抜けていくカラーは、お客様にとっても二度楽しめるので、うれしいですよね。きれいに色が抜ければ次回のカラーの選択肢が増えるので、美容師さんにとって、カラーチェンジも見据えて提案しやすい色ではないでしょうか。
ZEN:そうなんですよ。また、最初からベージュに染めると、退色がギラついた金髪っぽく抜けていったり、早い段階で白っぽくなったりしてしまうこともあるじゃないですか。だから僕は、お客様にベージュにしたいと言われたとき、これまでも退色過程まで見せてバイオレット系を提案していたのですが、「ウィスタリア」はより自信を持ってベージュご希望のお客様におすすめできるカラーになりました。
また、暖色系の色みや、ハッキリとした寒色系に飽きがきた人にもおすすめしたいですね。寒色はもちろん、補色としても使いやすい色みなので、組み合わせ次第で暖色に寄せることもできます。しかもワンタッチで色ブレが少ないので、どの美容師さんにとっても使い勝手が良いと思います。
竹内:実際に「ウィスタリア」が完成して、サロンのみなさんの反応はいかがですか?
ZEN:オーナーが一番喜んでくれているんですよ。もともとオーナーが担当していたお客様を僕が担当することがあるのですが、最近はオーナーからお客様に「ZENはうちのサロンで僕よりカラーうまいんで、安心して担当してもらってください!」と話しているんです。どこまで本気か分からないですけど、そう言ってもらえるのはうれしいですね。
開発サロンの証としていただいた盾も活きていますよ。カラーの強みがより伝わりやすくなって、お客様の信頼を得やすくなったと感じています。その分、求められるクオリティも高くなって、良い意味でプレッシャーになっています。一番印象的だったのは、いつも担当しているお客様に「そんなすごい人にやってもらっているなんて。なんかいつもありがとうございます」と言われたこと。驚きましたし、もっと頑張ろうと思いました。
「ウィスタリア」は僕一人でなく、アリミノさんと二人三脚、さらにサロンのスタッフみんなの協力を得て開発したカラー剤です。たくさんの人に使ってほしいですね。そして今後、アドミオの定番色に仲間入りするくらい愛されるカラーになってくれたら、うれしいです。
ZEN
Doll hair 店長
兵庫県出身。大阪モード学園卒業後、Doll hair入社。Rotika by Doll hairで経験を積み、2020年よりDoll hair 店長を務める。ダメージレスな施術とお客様に寄り添った丁寧なカウンセリングでグループ内No.1のリピート率を誇る。ピンク系やバイオレット系、さらに寒色系のカラーを得意とし、「周りからかわいいと言われるデザイン」を常に心掛けている。
Instagram:@zen_rotika
(取材・文/A PRESS編集部)