ブリーチカラーの繊細な色みと質感の表現を広げる! アジアンカラー フェスCONTROL SERIES新色開発の裏側
2021年10月、高明度・強発色が特徴のヘアカラーブランド「アジアンカラー フェス」より、カラー剤の新色3色(医薬部外品)とカラーシャンプー2色(PURPLE/PINK)を発売しました。新色はペールトーン色調のCONTROL SERIES、「CLEAR SILVER」「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRICOT」。さらに、カラーシャンプーの発売はアリミノ初となります。
そこで今回は、アジアンカラー フェスの開発担当者である商品開発部の秋山愛(あきやま あい)とマーケティング部の杉崎容子(すぎさき ようこ)に、新色について、それぞれの特徴や使い方、こだわりなど、CONTROL SERIES新色開発の裏側を聞きました。
さらに、開発協力サロンであるDaB AOYAMAディレクターの盛隆行(もり たかゆき)さんからのコメントもいただいています!
>カラーシャンプー開発の裏側はこちら:
https://apress.arimino.co.jp/product-20211026-002/
「薄めるバリエーション」を増やし、質感表現の幅を広げる
―― 今回の新色3色は、「CLEAR PINK」「CLEAR ASH」に続く、淡いペールトーン色調のカラー剤です。高明度・強発色でビビッドな色みの印象があるアジアンカラー フェスですが、なぜペールトーンの色調を拡充することにしたのでしょうか?
秋山:アジアンカラー フェスはプロフェッショナルが色作りを楽しむクリエイティブなカラー剤として、特にブリーチカラーが得意な美容師さんが多く愛用くださり、ビビッドなカラーはもちろん、淡いペールトーンカラーにもよく活用いただいています。一方で淡い色を作るにはカラー剤を薄める必要があり、特にとても繊細な色みのペールトーンカラーは、通常だと4色も5色もと多くの色を組み合わせなければといけない現状がありました。
杉崎:カラー剤を薄めるには無色のCLEARもありますが、それだと色は薄まるけれど色相は変化しないので、繊細な淡い色みや質感を調整するにはさらに色を加える必要があるんです。そこで「CLEAR PINK」「CLEAR ASH」のように淡い色調のカラー剤があれば、ペールトーンカラーもシンプルな組み合わせで作れるんですよ。
秋山:これまでの「CLEAR PINK」「CLEAR ASH」でもできることは多くありましたが、2色だけだと、たとえばシルバーの色みを作りたいときに、希望よりピンクに寄ったり青に寄ったりして組み合わせる色が増えるなど難しい場面がありました。そこで、さらに繊細な表現や質感の幅を広げたくて、「CLEAR SILVER」「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRICOT」を追加しました。
―― やはり、ペールトーンの需要やハイトーンの微妙なニュアンス変化の希望は高まっていると感じていたのでしょうか?
秋山:はい。ハイトーン人気は数字にも出ていて、ブリーチ剤の売上がこの2〜3年すごく伸びているんです。さらに2020年には在宅勤務が広がった影響なのか、「新たにハイトーンに挑戦しようという人が増えている」と美容師さんから伺っていました。
でもこの微妙な質感の繊細さってマニアックなジャンルでもあって、ここに特化したカラー剤は少ないんです。だからこそ、色作りのクリエイティブを支えるアジアンカラー フェスとして、今、できるだけ早いタイミングで出すべきだと思い、通常のカラー開発が2〜3年するところを今回は1年で作りました。
―― すごいスピードですね!
杉崎:社内でも「本当に1年で作るの?」と聞かれました(笑)。でも、作りたい色は明確にあってすぐに開発に取り掛かれる状態だったので、迷いはなかったです。
―― 普段から、作りたい色の候補がいくつもあるんですね。
秋山:そうなんです。他にもアジアンカラー フェスとして作りたい色がいっぱいあるんですよ。その中で今回は、ペールトーンの表現の幅を広げ、一系色につき一色なのでレベルの違う同系色の色みを揃える作業がなく1年で開発できることから、CONTROL SERIESを拡充することにしました。
組み合わせ方は自在。透明感、柔らかさ、まろやかさを表現する3色の特徴
―― その中でも、なぜ「CLEAR SILVER」「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRICOT」を選んだのでしょうか?
杉崎:トレンドに左右されずにずっと使い続けられる、今のアジアンカラー フェスにはない色み、組み合わせた色の質感を変化させられる。この3点を叶えられ、さらに単品で使用しても使いやすい色という点も重視して、この3色にしました。既存の「CLEAR PINK」「CLEAR ASH」と、今回の「CLEAR SILVER」「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRICOT」を合わせた5色で、今考えられる質感表現や作りたい色はカバーできる、そんなラインアップです。
―― 特にこだわった点を教えてください。
杉崎:発色の良さ、特に単品での使用時の発色ですね。今回の3色はアジアンカラー フェスの中で一番薄い色調なので、アンダーレベルが17レベル以上の髪を単品で淡く染めることもできます。一方で、薄い色調のカラー剤はアンダートーンの影響を受けやすく、きれいに発色させるのが難しいんです。そこで今回は、単品でも他のカラー剤と組み合わせてもきれいな発色になるようにこだわって、染料設計を作りました。
秋山:実際に開発協力サロンさまからも「この手の濃さの色にしてはきれいに染まりますね」という評価をいただいていて。使いやすいカラーになったと思います。
―― 各色の特徴を教えてください。
秋山:まず「CLEAR BEIGE」は、暖色寄りのベージュです。ベージュはどの時代でも一定の人気があるカラーですよね。これまでのアジアンカラー フェスではブラウン系の軸色となるNATURALが寒色寄りだったため難しかった柔らかいベージュ系の色みを、「CLEAR BEIGE」を組み合わせることで表現できるようにしました。
杉崎:「CLEAR APRICOT」は、ORANGEを薄めたものよりも少し白っぽく、まろやかな色みに作りました。暖色系の色相なので、暖色のPINK、RED、ORANGEと組み合わせると、暖色の温かみを維持したまま、まろやかな色みになります。さらに寒色のMATやASH、GRAYと組み合わせると、「CLEAR APRICOT」の持つ淡いオレンジみが寒色の青みを和らげて、ベージュ系の色相を作れるんですよ。
杉崎:最後に「CLEAR SILVER」。少し紫みのあるシルバーで、この薄い紫みがアンダーの黄みの補色となり、透明感を表現してくれるんですよ。単色で、また他のカラー剤と組み合わせて、さまざまなシルバー系の色みを作り出せます。今まで多くの色を組み合わせて作っていたシルバー系の色みも、「CLEAR SILVER」を使えばシンプルなレシピで作ることができます。
―― 暖色だから暖色を薄めるもの、寒色だから寒色を薄めるものとは限らないんですね。
杉崎:そうなんですよ。今回発売する新色3色は、アジアンカラー フェスの全てのカテゴリーと組み合わせて使える「CONTROL SERIES」に含まれます。紹介した以外にもさまざまな組み合わせ方やグレイカラーにも幅広く活用できるアイテム。ぜひいろんな使い方を試していただいてよりヘアカラーを楽しみ、クリエイティブに生かしていただきたいです!
開発協力サロンDaB盛さんからのコメント:ブリーチカラーもファッションカラーも幅が広がるアイテム
今回の新しい3色がCONTROL SERIESに加わったことによる一番のポイントは、これまで「CLEAR PINK」と「CLEAR ASH」だけでは難しかった彩度調整と濃度調整ができるようになったこと。それぞれの特徴を生かして活用すれば、より表現の幅が広がります。
「CLEAR BEIGE」は、これまでのアジアンカラー フェスにはなかった、若干暖色に振っているベージュ。ブリーチカラーだけでなくファッションカラーでの活用頻度も高く、使いやすいカラーです。例えばアッシュ系のカラーをするとき、毛先のダメージ部分に「CLEAR BEIGE」を加えるとくすみ対策になり、かつ色が安定しやすくなります。また暖色系のベージュはブリーチカラーにおいても、色をまろやかに薄めたいときに大活躍します。
「CLEAR APRICOT」は暖色系の色みなので、ファッションカラーでは「CLEAR BEIGE」に近い使い方ができます。特に「CLEAR BEIGE」よりも寒色の色みを弱めたいときに使いやすいです。またブリーチカラーでは、ピンクや赤系の色に組み合わせると、まろやかに色みを弱めながら、濁らせることなく彩度を保てます。サーモンピンクのような色みを作るのに重宝しますね。
「CLEAR SILVER」は、今回の3色の中で一番特徴的だと感じているカラー。色みがとてもきれいで、ベースが明るい人には単品でもきれいなシルバーに染まってくれます。また、寒色系を薄めるのに使うと、寒色の色みを保ったまま彩度を薄めつつ、少しシルバーに寄せることができます。「CLEAR SILVER」の色みは黄色の補色としても使え、イメージ通りに薄まるので、ブルー系のアッシュで毛先までアプローチするときに少し組み合わせたり、MATを弱めて色みを調整しながら薄めたりするのに使いやすいです。
寒色系の毛先へのアプローチでは、「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRCOT」を使うと、かなり全体の色みが弱まります。そこで、くすみやダメージが強いときは「CLEAR BEIGE」「CLEAR APRICOT」を、くすみはないけれど毛先に向けて色みを薄めたいときや、毛先に退色による黄みが出ているときは「CLEAR SILVER」をと使い分けると良いでしょう。
盛隆行TAKAYUKI MORI
DaB AOYAMA ディレクター
1983年生まれ、埼玉県出身。2004年日本美容専門学校卒業後、DaBへ入社。サロンワークを中心にスタッフの育成、カラー技術の向上に務め、薬剤開発にも携わる。デザイン性の高いカラーのテクニックには定評があり、お客様からの信頼も厚い。一般誌、業界誌の撮影、また全国各地でのセミナーにて活躍中。
Instagram:@mori_takayuki_
(取材・文/A PRESS編集部、撮影/河合信幸)